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ちっちゃな種が暮らしいい。

phase-30「どんな生命でも、生きられるのなら、生きたいだろう」

議長、指示はやはり基本的にレイを通じて出してたんですね。
今回はステラ可哀想だよステラ!と、レイどうしたレイ!を叫んでみたいと思う。あんまりだよ、ステラ…。そしてレイ、生きろ! ついでにアスランもな。キラは取り敢えず、ここからいなくなれーーっ!!!!


第30話刹那の夢。一瞬出逢った、そのあわいに見た夢なのか。


この辺りは恒例となった感のある、修理中のミネルバ艦橋にて、タリアとアーサー、マリクにバート、メイリン。
自室で落ち込んでいるアスランはハブですか。まあ正しい判断だろうけどね。
まともに残ったのは結局インパルスだけ。てか、レイザクは中破で済んでいるんですか? あれで? セイバーは細切れになってたけど…あれも全部引き上げたのか?
「毎度毎度後味の悪い戦闘だわ。敗退した訳でもないのに」とタリアさん。
腹立たしげに言うその気持ち、分かりますぜ。全く以て、AAめ!


さてその海の底のAAでは、オーブ軍脱走兵と思われるアマギ一尉他ざっと100人ばかりのオーブ兵が押し掛けて、ブリッジは妙に手狭に。残りのムラサメもかなり持ってきているみたいで…てか乗ってきたのか。
えーと、まずどうやってオーブ軍の一部がAAまで辿り着いたのか尋ねていいですかね。誰がどうやって連絡を取ったんだ全く!
ユウナはどうしたユウナは。どこぞの海に沈めて来たんじゃなきゃ一緒にくっついていておかしくないんだが…数週間後にはオーブにちゃっかり戻ってたりするんだろうか。それとも本気でAAで便所掃除…なわけないだろうな、幾ら何でも。
トダカの最後の言葉を伝え、「ですがトダカ一佐と我らの苦渋をどうかお分かり下さいますのなら、こののちは我らもAAとともに、…どうか!」とAA入りを申し出るアマギ。
それに対してカガリが泣く、「私が愚かだったばかりに、非力だったばかりに、オーブの大事な、心あるものたちを…っ!」。
愚かとは何のことを指しているのだろう、自分の何が愚かだったとカガリは思っているのだろう。非力なのはいつものことだが、愚かと非力は意味が違う。分かって言っているのだろうか?
オーブ兵たちもつられて泣いているんだが、正直、国を抜けてAAにいること自体も相当愚かだと思うのだがどうだろう。クーデターに遭って亡命中とかいうわけではないのだから。オーブに戻って自らの非を国民の前に明らかにし、再度オーブを立て直しては如何でしょうかね、カガリ。

だがそこへ、キラが近づく。
「何をどうしたらいいのかは分からない。多分、ザフトを撃っても駄目だし、地球軍を撃っても駄目だ。そんなことはもうさんざんやってきたんですから。だから、憎しみがとまらない、戦いが終わらない。僕たちも戦いつづけるから、本当は駄目なのかもしれない。僕たちは多分みんな、きっとプラントも地球も、幸せに暮らせる世界が欲しいだけなんです」
…え? 何か心を打たれるような台詞言ったか? 相変わらずAAに指針がないってぶっちゃけただけじゃんか。「ザフトを撃っても駄目」なら戦争の場に出てくるんじゃねえっ! お前が一番撃ってるんだよキラ! 寝言言っていないでそのまま沈んどけっての!
なのにこれに対してアマギが「キラ様」発言+総員敬礼。
…………読めた。オーブに帰っても首長はキラが務めるってことか。その下地だってことかよ。
うわ、本気でそんな国、住みたかないね!


ここで唐突なシャワーシーン。
誰だか分かり難かったがタリアさんでFAですよね?
一瞬本気で迷ったけど、髪を振り払ったときの表情が苦い顔をしたタリアさんだった、と思った。いつものあの髪型がないと誰だか分からんよ全く。
…てか、最初レイだと思って慌ててしまった。ああびっくりした。心臓に悪いわ、このアニメ。描き分けしてくれ、頼むから。


医務室のステラ。日に日に窶れていく様が、目元の隈だけで表わされていて怖い。えーと、人が窶れるときには肌が荒れたり血色が悪くなったり骨ばかりになったりしますから! ステラ、肌色良過ぎ!
その傍で貝殻を入れた瓶を見つめるシン。この瓶…インスタント珈琲の瓶みたいだ。
目を覚ましたステラが貝殻を見て、苦しいながらも少し笑う。
このままだともう長くない。


ミネルバ休憩室(?)にて、メイリンがヴィーノやヨウランとおしゃべりしているところに、包帯ルナマリアが。あれだけ爆発させてた割には、随分と元気じゃないの?
メイリン、姉の見舞いにも行かずに整備士と遊んでいたことが発覚。まあそういう子ですけどね。
「それよりアスランは? どうしてるか知らない?」
あらら。ハイネが死んで随分時間が経ったように思ったけど、初めてじゃないですかね、彼らが「さん」付けでなく呼んでいるのは。けど接着剤になったっていうより、今のアスランには正直きついかも。
そこへ現れるシン。
「派手にやられてたからね、フリーダムに。部屋でどーんと落ち込んでんじゃないの? あんま強くないよね、あの人。なーんであれでFAITHなんだか。昔は強かったってやつ?」
……シン、皆がどん引きしてるの分かってるか? そういう増長傾向は…いかんよ君。
「あんま強くないよね」が、人間として強くない、ダメージに弱いよねっていう意味に取れて、シンって結構分かってるかも、と思ったり。


さて、ネオはついに一人になってしまったスティングが眠るのを見つつ、ジブリールの言葉を思い出す。
「何のために戦うのか…、そんなことを考え始めたら終わりだな、俺たちは」
兵器に思考はいらない。喪った者を悼む感慨も要らない。


ステラのところへ向かおうとしていたシンは、医師とタリアの会話を立ち聞きしてしまう。
医師は、もう生死は時間の問題であり、データとしての価値がある内に延命を止めて、解剖したいとの考え。例えば釣った魚を弱らせてから捌くよりも、元気な内に捌いた方が美味しいと言うかのごとく。
タリアはそれに反対、評議会は生きたエクステンデッドが欲しいのであってデータが欲しいのではないと。延命措置を続けるようにと申し渡す。

正直、評議会側が何故生きたエクステンデッドを欲しいのかよく分からんのですが。
兵器として使うには弱りすぎていて明らかに無理。地球軍の悪逆を喧伝するための材料なら別に生きていなくてもよかろうに。
…まあ、息絶え絶えの少女が画面に大写しになる効果は、それはそれで大きいと言えるかも知れないがね。



夕暮れ、ダメージの酷いミネルバの舳先にて、アスランが佇む。
思い出すのは父とウズミ、議長、そしてキラ。…カガリの言葉も回想してやれよ。
そこへひょっこりシンが現れる。
シンに声を掛けて、でもそのあとが続けられないヘタレアスラン。自分を過信していたから、プライドが砕かれてしまって、立つ場所もない感じ。
シンはそんなアスランを見るに見かねて、というよりうじうじしているのに無性に腹が立って、追い打ちを掛ける。
「そうやって偉そうな顔したって、何もできなきゃおんなじです!」
「何だとっ」
「悪いのは全部地球軍なんだ、あんただって、それと戦うためにザフト軍に戻ってきたんでしょ!」(ここでステラ回想を一瞬)
「!」
「だったらもっと、しっかりしてくださいよ…」
追い打ち掛けたというか、尻を叩いたというか…、方向性間違ってるけどアスランにはこうして叩いてくれる人が必要なんだろうなあ。シンも悪意があって言っている訳じゃなさそうだし。
てかうじうじしてる暇があったら地球軍を叩くために強くなってくれよ、そうシンが思っているような、気がする。
でも、この台詞を受けてアスランが直ぐ心を入れ替えるかってと…いや、無理だな。割り切れない人ですから、色々と。


夜のミネルバ。シンとレイの部屋で、深夜にガイアのデータを検索するシン。
レイは眠っていたが、音で目覚め、シンが検索しているものを知る。
「何をしている」
うぉ? クルーゼ隊長並の声でしたよ今。シンでなくたってびびるぞ。
シンさあ、明らかにレイの場所からガイアデータ見えてるって。「何でもないよ」じゃないだろ?
それにレイが「そうか」って言って寝たふりをしたからって、気付けよ!


同じ夜のさらに遅く、ステラの眠る医務室へ現れたシンは看護師さんを殴ってステラをストレッチャーごと連れ出す。
女の人のお腹を殴るのは拙いぞ。妊娠してたらどうする。
シンがステラに声を掛けると、ステラは「ネオ…? あ、シン…」と呟く。
ステラの心のよりどころはやっぱりネオなんだろうなあ。
シンが「俺は約束を守るさ…ステラを、守る」と話しかける。
でもそれが、本当に守るということなのだろうかと、もっとよりよい解があったのではないかと、思われてならない。


シンはストレッチャーに乗せたステラを連れて、格納庫へ。しかし警護の兵に発見される。急いでエレベーターを開けようとしたが動かず、焦っているとうめき声が。見ると、何とレイが銃を持った警護兵を素手で殴り倒していた。驚いたがとりあえずシンも手近な兵を殴り倒す。
レイ、あの細腕で強すぎ…。アカデミー首席卒業は伊達じゃないってことか。
一般兵が後ろで二人ほど見ていたが、レイの強さにただ傍観。
「返すのか」レイがシンに静かに問いかける。だが、軍紀に忠実なレイが目の前でしたことにシンはまだ唖然としていて、「あ、ああ」としか答えられない。
「このままじゃ、死んでしまう。そのあとも、実験動物みたいに…俺は、そんなの!」
そう言いながらエレベーターの中へストレッチャーを運び入れ、ドアを閉めるボタンを押した。なのにその閉まるドアを押しとどめた手があった。レイの手だった。
「お前は、戻ってくるんだな」
「当たり前だ!」
「なら急げ、ゲートは俺が開けてやる」
「え?」
何を思ってレイがそんなことを言い出すのか、シンには分からなかった。レイはふっと、顔を背けた。
「…どんな生命でも、生きられるのなら、生きたいだろう」
そのまま、ドアは閉まった。


シンはステラをインパルスコックピットに運び入れる。
レイは制御室にて幾人かまた殴り倒し、インパルス発進を準備する。
どうもこの部屋は以前レイが何かデータを読み込ませていた部屋のようだが…ううむ。
制御室は恐らくミネルバ中枢、そこを内側からロックして発進作業を行なうレイ。ほぼ無言で作業するのがレイらしい。いやどうなんだそれは。
準備を終えて「いいぞ、シン」と声を掛けると、シンが小声で「行くよ」と答えるのが笑えた。大声だと聞こえるってか?
まあインパルスが発進してしまえば当然タリアにも分かる訳で。

一方、作業を終えたレイはドアロックを解除し、両脇を警護兵に拘束されて連れ出される。「…レイだぞ」というどよめきが起きるが、その中を顔を上げて歩いていく、そこには強い決意だけがあって。
様子を見に来ていたアスランとルナマリアだが、アスランは気になってその後を着いていく。


艦長室でタリアは軍本部と交信していた。かなり怒りモード。
「ええそう、仕方ないでしょ! こちらには今追える機体がないんだから!」
そこへ、レイと警護兵、それにアスランが入室。
「悪いけどアスランはいいわ。下がって」
ぴしりとはねつけたタリアの声に、アスランはすごすごと退出。同様に警護兵も退出させ、レイと二人きりに。
いらない子モードのアスランがちょっとだけ可哀想に。ええと、艦長が君を退出させたのは、レイの特異な立場上の問題があってのことなんだが、今の君にそれは分からないだろうし、辛く響くよね。ま、タリアさんが苛ついてるのは仕方ないこととして。

「追撃などしなくとも、シンは戻ってきます」
そう静かに言うレイに、タリアは憤りを抑えきれない。
「どういうこと、レイ。これもあの人からの指示かしら?」
「今回のことは私の一存です。通常の処分をお願いいたします」
レイは議長指示を否定、自らへの処分を求める。
「シンは彼女を返しに行っただけです、必ず戻ります」
戻ってくる、そうシンが約束したことにレイは欠片も懸念を抱いてはいない。
艦長室の外ではアスランが待っている、一応直属の上司ではあるしね。そこへルナマリアが心配げにやってくる。でも、彼らにできることは、何もない。


その頃、シンはガイアの識別コードを使って地球軍に呼びかけていた。
ネオは理由が分からないながらも応答を命じる。
それにシンが呼びかける、「ネオへ。ステラが待ってる。ポイントS228へ一人で迎えに来てくれ」。
どうして地球軍の中にネオという名の人物がいると判断したのか今ひとつ不明だが、ま、いいか。


ネオはウィンダム単機で発進、指定ポイントへ。…あれ? ここ、アスランとキラ、カガリにミリアリアが会っていた場所じゃなかったっけか? この辺の待ち合わせポイントといったらここしかないのかよ。ハチ公前みたいなもんですかね。
曇り空の下の夜明け、インパルスの中でシンとステラがネオを待っていると、そこへウィンダムが。
「来たぞ、ネオ・ロアノークだ! 約束通り一人だぞ!」
インパルスからステラを抱きかかえて降りるシン。…毎回思うんだが、皆器用だよね。普通片手に綱、片手に人間を抱えてじゃ、絶対バランス崩すって。
窶れたステラを抱き締めて、シンが絶叫する。
「死なせたくないから帰すんだ! だから絶対に約束してくれ! 決して戦争とか、MSとか、そんな死ぬようなこととは絶対遠い、優しくて、暖かい世界へ彼女を帰すって!」
「約束、するよ」
そう答えたネオに、それでも安堵して、シンはステラを引き渡す。
「ありがとうと、言っておこうかな」
「別にそんなのはどうでもいい、でも、さっき言ったことは!」
「わかってるよ、じゃ」
「待て!」
瓶に入った桜貝を、シンはネオに渡す。
「ステラがくれたんだ、ステラ、これが好きで、だから」
「シン」
「忘れないで、ステラ。俺、忘れないで」


ステラの身体は既に兵器なのだ。
地球軍と離れては生きてはいられない、それなのに、戦争とは遠い場所で生きていて欲しいと願うのは、無理なことなのだ。
シンはそれを分かっていないのか、考えたくないだけなのか。
優しくて暖かい世界、そんなものは幻だと、いうのに。あるいは、死後の世界、もしあるとするならばだけれど、そこでしか平安はないというのに。
兵器として生き、死ぬ以外に、ステラにとっての平安はないのだと思うと、ステラもシンも、哀れで仕方がない。



今回を振り返って、やたら活躍していたのはレイ。
議長からの指示ではなくシンを擁護し、重い言葉を呟いていた。
だが、評議会がステラを生体のまま提供しろと要求していたのなら、それに背くのは議長に背くことでもあるだろうに。議長に背いてでも救いたい命だったのか。時間がなくて省かれたという、ステラとレイのエピソードが欲しいと思う。
艦長に「通常の処分をお願いします」と言っているが、今回レイとシンのしたことは軍紀逸脱にもほどがある。最悪銃殺刑になってもおかしくはないだろう。
ステラに自分を、もしかしたらラウをも重ねたか。
「生きられるのなら生きたい」。生きられなかった人がいた、から。例えばラウとか、もしかしたら、レイ自身とか。
「戻ってくるんだな」に、何故かレイから見たラウを重ねた。ラウは、戻ってくるとは言わなかったろうから。


それにしても、以前のロドニアラボ潜入は少なくともレイを通じた議長の指示だったと明示された訳だが…議長はレイのトラウマを知っていて行かせたなら、結構酷いかもしれん。議長真っ黒だよ議長!
当ブログ的には大変喜ばしいことですが、またもや議長真っ黒度が上がりました。29話でへたれだと思った記憶が懐かしい。
# by gil-mendel | 2005-05-15 09:33 | seed-destiny

phase-29「戻れぬというのなら初めから正しい道を!」

議長とラウが出張った割に、謎は殆ど解かれぬままに、というより寧ろ深まって終わった総集編。
タリアさんと議長は婚姻統制に割かれた悲恋カップルとでも? なら5話はどうしてくれる? でタリアさんは既婚者で夫子どももいるってか? レイを解放し育てたのはラウ? 何より、いきなり「アデニン、グアニン、シトシン、チミン…己のできること、己のすべきこと、それは自身が一番よく知っているのだから」って、議長それはどういう意味ですか? 遺伝子が全てを知っているとでも? いやもう、誰か解説してくれ!

29話「FATES」。議長がちょっと可愛くへたれている今回、真っ黒とも真っ白とも言い難い…。いやそこで壮大な理想を描いて人を手駒のように扱って世界を変革しようと妄想する議長よ来い!!!



総集編なので、台詞を拾うのは議長とラウくらいに留めておきます。…折角SEEDの総集編をやるなら、その時々に議長がどこにいたか描いてくれたらと。


現在、議長はどうも私邸にてチェスを指している模様。前回同じ部屋が出てきたときは執務室かと思ったが、その向かいに座るラウ、レイやラウの隣に座るかつての議長(議長になっていないからデュランダルと言うべきか)が幻として描かれるということは、ここは私邸か、あるいは私的な研究所の一カ所か。
議長がずっと誰との対局を想定してチェスを指しているのか気になっていたのだが、それはラウ・ル・クルーゼを意識していたことが発覚。
仮面を付け、ザフト白服を纏ったラウがその向かいに座っているということは、その立場にあってもラウがデュランダルを尋ねてきていたということで…。

議長がキラとラクス、アスランの出会いに自分とタリアを苦く重ねる。
アスランとラクスはプラントの婚姻統制上定められた婚約者同士、しかし運命はキラとラクスを結びつける。
タリアと交際していたが婚姻統制により定められた相手はタリアの方に別にいて、(議長にはいないのか? すると議長には子種がないってか?)子どもが欲しいタリアはデュランダルを振る。
別れの場所にタリアが婚約者を連れてきてるって…いや、やるけどさ。
タリアは涙を浮かべていて、決して未練がない訳ではないけれど、それでも子供を産むことを選んだ、と。

…あり得ない話だとは言わないが、そうするとタリアは既婚者で、5話の描写は夫が死亡していなければ不倫で、子どもがいておかしくない訳だが…その辺の矛盾というか齟齬はどうしてくれるんですかね? …まあ幾ら言っても無駄なことだろうけれど。
とりあえず夕方番組なので、タリアの夫も子どもも既に亡き人と予想してみる。てか、それ以外解決しようがない。

議長の現在タリアに対する様子があまりに駒扱いなのを見ると、これだけ議長がタリアに恋い焦がれていたのが不思議なくらいだ。
色々過程があって、過去は過去の思い出ってことですか? それとも、ミネルバにあんな過酷な進路を取らせるのは、タリアへの復讐もちょっと入ってますか?

議長はキラとラクスが婚姻統制を乗り越えて結ばれたことが、羨ましかったのか? 何故自分たちには乗り越えられなかった壁なのだろうと?
だからアスランに目をかけているのか? 捨てられた側だから?
………ううむ。わからん。


議長が仮面を付ける前のラウに薬を渡している場面あり。角度の問題なのか絵柄の問題なのか、何故かとても強い友情があるように見えたけれど、実際彼らの関係はどうだったのだろう。
ラウの幻と語る議長は、ラウを見守りつつ、その「生きたい」という奥底の思いにも気付いてやりつつ、けれど自分はラウとは違う道を選ぼうとした人のようだ。
いや、実は彼らの思いは通底していたのかも知れない。ラウが死の間際に微笑んだそのように。


議長の回想にもレイの回想で出てきた施設があったので、議長はヒビキの研究施設に以前から関わっていた人であることは証明されただろう。
また、ラウが囚人室のようなレイのところに現れる場面も描かれていること、レイが今回終始ラウの傍にいてラウの表情を見上げ、ラウが難しい話をしていると不安げにし、ラウが頭を撫でてやると幸せそうにしている様子などから、レイを動物的環境、実験体としての扱いから救い、育てたのはラウなのだろう。
未だ彼らの関係には描写が少なすぎる。レイに至っては何者か明かされてはいない。もしかして最終話まで明かされないまま行くんじゃないだろうな? おい。…それはちょっとどうかと思いますぜ。



以下に議長とラウの幻との会話を載せてみる。…そうしたところで何が分かるという訳でもないのだけれど。

***

デュランダル:それでも魂が惹きあう、定められた者たち、定められた物事。
全てをそう言ってしまうなら、では我らがあがきながらも生きるその意味は?

ラウ:全てのものは生まれ、やがて死んでいく。
ただそれだけのことだ。

デュランダル:だから何を望もうが願おうが、無意味だと?

ラウ:いーやいや、そうではない。ただそれが我らの愛しきこの世界、そして人という生き物だということさ。どれだけ、どう生きようと。
誰もが知っていることだが忘れていることだ。
だが私だけは忘れない、決してそれを忘れない。
こんな私の生に価値があるとしたら、知ったときから片時もそれを忘れたことがないということだけだろうがね、は!

デュランダル:だが君とて望んで生きたのだ、まるで何かに抗うかのように、求めるかのように。
願いは叶わぬものと知ったとき、我らはどうすればいい?
それが運命と知ったときに。

ラウ:そんなことは私は知らない、私は私のことしか知りはしない。
迷路の中を行くようなものさ。
道は常にいくつも前にあり、我らは選び、ただ辿る。
君たちはその先に願ったものがあると信じて。
そして私は、やはりないのだと、また知るために。

デュランダル:誰が決めたというのだろう、何を。
仕方がなかった、では、それは本当に選んだことか?
選んだのは本当に自分か?
選びえなかった道の先にこそ本当に望んだものがあったのではないか?

ラウ:そうして考えている間に時はなくなるぞ。
選ばなかった道など無かったと同じ。
もしもあのとき、もしもあのとき?
いくら振り返ってみても、もう戻れはしない。
何も変えることなどできない。
我らは常に、見えぬ未来へと進むしかないのだ。
今ではないいつか、ここではないどこか、きっとそこにはある、素晴らしいもの。
それを求めて永劫に血の道を彷徨うのだろう、君たちは。
不幸なことだな…。

デュランダル:救いはないと?

ラウ:救いとは何だ?
望むものが全て、願ったことが全て叶うことか?
こんなはずではなかったと、だから時よ戻れと祈りが届くことか?
ならば次は間違えぬと、確かに言えるのか、君は?
誰が決めたというのだ、何を。

デュランダル:ならば私が変える、全てを。
戻れぬというのなら、初めから正しい道を!
アデニン、グアニン、シトシン、チミン。
己のできること、己のすべき事、
それは、自身が一番よく知っているのだから…


***

ATGC、それがどうした!
てか、議長は議長にできる何を知っていると? 世界を己の手で正しくあらせる、そのためにあらゆる手段を執ると? 遺伝子工学の権威、その才能をどのように活かすつもりなのか?
そうして世界を変えようとしている、それが今回の黒幕だと?

議長の思想は、まだ全て描写された訳ではない。
何をどう変えたいのか、それも明らかではない。
世界に何を望み何を求めているのか、それも分からない。
しかし自分の思い描く新しい世界に導こうとする点で、それが初めから正しい道を取れると信じようとしている点で、議長は誤っていると言えるかも知れない。
それは世界を「自分という存在を生み出したという一点で許せなかった」ラウとは違い、しかし通じるものがある。

最後に議長が見遣るチェス盤、そこに倒れているのは黒のキング、即ちラウ。
ラウ亡き後、議長は己が正しいと思う世界を描こうとしているのだ。
だがその思いに、ラウが強い影響力を及ぼしている限り、いつもラウという運命と闘いながら次の一手を指さねばならない議長は、やはり自由ではないのではと思えてならない。



だが、ラウの台詞は毎回毎回、辛そうで、気の毒になる。
これだけ人生と世界を悲観している人がレイにはきっと優しすぎるくらいに優しかったのだろうと思うと(頭を優しく撫でてやってレイが嬉しそうに微笑んでピアノに走っていく様を見るときっとそうだと思うのだが)、確かにラウは生きようと求めていたと、そう思うのだ。
自分は長くは生きられないことを知っても、実験動物にされていたのだろうレイに自分を見出して、大切に育てたのだろう。レイのピアノはラウに教えられたもののように見えるし、あの豊かな表情は、愛情を受けて育てられた子どもにしかないものだ。
自分自身が大切にされたことがなかったろうラウが、自分の延長とは言えレイを大切にしたことを思うと、何故かとても、切なくなる。
# by gil-mendel | 2005-05-07 21:12 | seed-destiny

phase-28「これまでの責めは私が負う、貴様はこの後だ!」

トダカ一佐は真にオーブを守るために、死んだのだと思う。それに比べて、巫山戯るなキラ! 貴様は何をやっとるのだ! 己の愚かさに気づけ!

そして、次回予告に議長視点の回想来たーーーっ! ラウに渡した薬はやはり議長作! 議長が手に握る駒はキング、それはラウなのか? それとも? 蹲る幼いレイのもとへ近づく人影はラウのよう、議長とラウ、レイの関係がついに明かされるのか?!


第28話、「残る命 散る命」。
余りに沢山の、沢山の生命が無惨に散って、とても辛い、28話。


アバンは既に前回そのまま。コメントの余地なし。


クレタを基点に挟まれたことに気付くタリア艦長。
「拙いわ…転進してももう一方に追い込まれる。下がれない、突破するしか」
ミネルバが求めた戦闘ではなく、生き残るためにはもう進むしか道はない。
この戦闘で撃つなと、キラよ本気で言えるのか?


アウルがブラストシルエットのインパルスを見て一言、
「へっ! 今日は緑かぁ!」
………まさかみどりの日と掛けちゃいないでしょうね。それは昨日か。
予告アドレスがmidoriだった理由、ここで判明。ははん。

シンはアウルとの戦闘で、「あいつ…」と、何故かアウルを回想。
海に落ちたステラを拾って送り届けたときに遭ったアウル、そして思い返すロドニアのラボ。
ステラという少女に出逢いその子が何者か知ったことで、シンが初めて、「敵」パイロットについて僅かでも、思いを巡らす。
ステラへの同情は、エクステンデッドたちへの同情となりうるのか。
「あいつらも、やっぱり…」
けれど次の瞬間、アウルは当然撃ってきて、そして当然のように戦闘は続けられる。
戦場で敵となった以上、戦うことから逃れられない、運命。

アスランはムラサメを落としつつカオスと交戦しながら、キラの言葉を、そして喪ったハイネの言葉を回想する。…ってか、こいつ本気でキラのことしか考えとらんな。回想するならカガリにしろっての。そんなにキラが気に掛かる?
「それでも僕たちは、オーブを撃たせたくないんだ」
「じゃあお前、何処となら戦いたい」
「割り切れよ、でないと……死ぬぞ」
「撃ちたくない、撃たせないで」
アスランの立場は、オーブを撃たなければ自軍が沈む、もうそういうところに立ってしまっている。撃ちたくないとかそういう世迷い言は言えないのだ。それが自ら選び取った立場だとアスランが思い込んでいるにせよ、はっきりと敵に回ったオーブを撃たねばならない。それはカガリを、キラを撃つことなのだけれど、だからといって、撃たねば撃たれる。


一方、タケミカズチ。
ユウナはさらに軍を出そうとして、トダカに止められる。
「実戦はお得意のゲームとは訳が違います! そう簡単にはいきませんよ」
実際は、人が死んでいくのだ。落とされるそのMSに乗っているのは、生きた人なのだ。もう帰ってこないのだ。爆殺され、海に投げ出されて、恐らくは遺体すら見つからぬ、その一人一人には、背負っていた人生があったのに。

馬場一尉は、以前アスランがセイバーでひょっこりオーブに帰ってきたときに迎え撃った人だが、ミネルバへの特攻を選ぶ。
「あれさえ落とせば、全て終わる!」
ミネルバはムラサメを落とそうとするが、特攻には敵わずレイザクが左腕を喪い、艦首もダメージを受ける。
ルナは「これ以上やらせないわよ!」と砲撃するが相変わらず当たらず、どうにか戻ったセイバーが2機ほどムラサメを落とす。しかしカオスにつけ狙われ、ミネルバを守ることがままならない。
タリアもセイバーとインパルスを呼び戻そうとするがいずれも戦闘中のため戻せない。………それでも戻した方がいいんじゃないかと思うのは、素人考えなんでしょうかね。
再度ムラサメが特攻を掛ける。
シンとアスランが気付くが戻れず、アーサーは驚いて「艦長!」と叫ぶのみ。…いやアーサー、頼むからそこは自分の判断で迎撃なりしてくれよ本気で。アーサーがもっと有能だったらミネルバはこう何度も危機に陥らなくてすんだんじゃないかと思う。…もしかしてこれも議長のミネルバ戦略か? そうまでしてシンの種割れ誘いたいですか? …そんな莫迦な。
「取り舵一杯、機関最大!」
ミネルバが艦砲射撃で対応し、レイザクも残った片腕で砲を撃つが、それでも全ては落とせず、馬場一尉のムラサメが、真っ直ぐミネルバへ突っ込んで、そしてブリッジへ真っ直ぐ砲を向ける。
そこへ、またもや、天からの砲。

…別に水戸黄門が見たい訳じゃない。危うい場面にならないと現れない、そんな天使が見たい訳じゃない。
正直、AAの現れるタイミングと、戦闘における態度が、本当に苛々する。
一体何様のつもり? 戦闘を止めたいなら、それは元から断たねばならない。戦場に現れて武力で介入する、それは所詮、戦闘の拡大と混乱でしかない。
「争いがなくならないから力が必要なのです」という議長の論理そのままに、彼らは力を持って現れるのだ。
もういっそのこと、キラは議長の下に弟子入りしたらいいんじゃないかとつくづく思う。

ストライクルージュで現れたカガリは言う。
「オーブ軍、直ちに戦闘停止して軍を引け! オーブはこんな戦いをしてはいけない! これでは何も守れはしない、地球軍の言いなりになるな! オーブの理念を思い出せ! それなくして何のための軍か!」
カガリよ、気持ちだけは分かる。けれどオーブをここまで追いやったのは、結果的にあんたの…そしてAA連中の行動なのだ。
カガリが政治家としてその任をなせなかった、その意味は余りに大きい。
若かったから、そんなこと政治家には言い訳にならない。
重なる判断ミス、首長会さえ動かせない力のなさ、世論に訴えかけないその非常識、セイランに嫁いで実質自分の口を塞ごうとしたこと、あまつさえオーブを出てしまい代表としての役割を結局放棄したこと、それらの責任は一義的にまずカガリの肩に掛かってくる。
自分の政治力のなさが、今オーブの兵を死なせているということを、カガリは知るべきなのだ。そして、AAも…キラも。

当然、これを聞いたシンは激怒。
「あんたは、そんな綺麗事を、いつまでもおおおおおっ!!」と叫んでルージュを撃つが、その砲弾は全てキラに叩き落とされる。
シンにカガリを撃たれそうになり、次にはキラにシンを撃たれそうになったアスランだが、何故か動くのはキラに対してだけ。立場があるにせよ、それはどうかと思うのだが。
シンは「お前も、巫山戯るなああっ!」と叫んで種割れ。…あ、マユが出てこなくなりました。進歩?
種割れしたためシンはキラのソードを交わし、キラが驚く。へへん、いつまでも驚いていやがれ。外されたことがそんなにショックか。
そこへさらに、「やめろキラ!」と叫んでアスランが。モード的にはシンの保護者なんでしょうかね。キラに対する意地も大きいと見た。
「こんなことはやめろ、オーブへ戻れと言ったはずだ!」
…言って聞くようなキラだと思っていたんですかね。アスランはどうも、周りが自分の言うことを聞いて当然と思っている節がある。それはカガリに対しても、キラに対しても。そういう抑圧的な人間関係は良くないよ?


これを見ていたネオ、ユウナに「二艦とも叩き落とせ」と命令。
タケミカズチのブリッジで、アマギがトダカに声を掛ける、トダカは「我らに、指揮権はない」と苦渋に満ちて呟く。
ユウナが「ミネルバを、早くミネルバを! あれさえ落とせばいいんだから、私は!」と叫ぶのを聞いて、さらに怒りに震えるトダカ。
ユウナが「私は」と言った時点で、最早司令官としては失格といえよう。軍を率いる総司令なら、「国のために」何をすべきか考えるべきで、「私」という個人のために軍を動かす等以ての外。
何故こんな人間を総司令に戴かねばならぬのか、だがそれも、キラがカガリに国を捨てさせたためでもあるのだ。
どうしてオーブの中で、彼らは闘わなかったのか。
どうして自らの足元で、波を覆さなかったのか。
キラよ、ラクスよ、カガリよ。
巫山戯るな。お前達は、新たに戦いを作っているだけなのだ。それも、陰惨な。

「下がれキラ、お前の力はただ戦場を混乱させるだけだ!」
キラしか頭にないアスランが叫ぶ、それにキラが「アスラン」と呼びかける、そこにカオスが両方撃とうと一撃、両者飛び退く。
スティングがふと振り向いたそこに、しかしフリーダムがいて、一撃の下にカオスは達磨状態にされて水没。

ミネルバに今度はAAが迫る。またもやアーサーが「か、艦長!」と呼ぶのに、タリアは怒りを籠めて態度を決める。
「こちらに敵対する確たる意思はなくとも、本艦は前回あの艦の介入によって甚大なる被害を被った。敵艦と認識して対応!」
戦場でAAの取った態度は、そうとしか捉えようのないものなのだ。
援護射撃したとしても、窮地から救ったとしても、一度甚大な被害を与えたことには変わりない。
AAよ、いい加減に気づけ。
そんなやり方じゃ何も変わらないということを。
やりぬく前に、その意志がその方法で伝わるのか、今一度、考えて見ろ。

アスランとキラとの交信に気を取られていたシンに、アウルが「どこ見てんだよごらあっ!」と攻撃しようとする。しかしシンは種割れ状態継続中のため、返り討ちに遭ってしまい、海中へ。
海に沈んだ、そのヘルメットが血に染まる前の一瞬、アウルが見せた驚きの表情が痛かった。
そしてそのまま海中にてアビス爆散。
ネオがアビスのシグナルロストに「アウル!」と叫んだのが、人間味を感じさせた。

シンは、アウルを落とそうとは本気では思わなかったのかもしれない。ステラの境遇と同じと考えたなら、当然、アビスのパイロットも戦争の被害者だと思っただろう。それでも、自らの命には、当たり前だが替えられない。
それが、戦争なのだ。


スティングは運良く地球軍に助け上げられる、だがそこでアビスの遭難ポイントが放送されているのを聞いてアウルの事態を知る。
きっと、幼少時から長い付き合いだったのだろう。

シンはまだ種割れ継続中で、フォースシルエットを射出させてニュートリオンビームを受け、地球軍MSをバリバリ落とす。…それはいいけどさ、艦を守るのも大切じゃないのかね、シンよ。そうこうしている内に再度ムラサメ特攻部隊がミネルバを攻撃するぞ?

…だが、そこに割り込んだのは、ストライクルージュだった。
「あの艦を撃つ理由が、オーブのどこにある! 撃ってはならない、自身の敵ではないものを! オーブは撃ってはならない!」
そこで返した馬場一尉の、言葉。
「これは命令なのだ、今のわが国の指導者、ユウナ・ロマ・セイランの。
ならばそれが国の意志。なれば、我らオーブの軍人は、それに従うのが務め! その道、いかに違おうとも難くとも、我らそれだけは守らねばならぬ。おわかりかああっ!」
戦いに出た軍人に呼びかけることの虚しさ、自分が放棄してきた責任のために彼らを無益な戦いに出してしまう結果となり死なせてしまうこととなった責を、カガリは、キラは分かるだろうか。
聞けよカガリ、そしてキラよ。
オーブ「軍が」戦闘したくて戦ってるんじゃない。所詮軍事は政治の延長、その政治の舵取りを誤ったがためにどれほど多くの命を失うことか、そして自分の手がどれほど汚れ、自分の脚がどれほど屍を築いたか、とくと見るがいい。
「お下がりください。国を出た折より、我らここが死に場所と、とうに覚悟はできております。下がらぬというなら、力をもって排除させていただくっ」
戦うなと、言うのは簡単だ。けれど、戦わせたのはあなた方ではないかと、言っているように思えてならない。
「我らの涙と意地、とくとごらんあれっ!」
そして再びムラサメは特攻していく。ミネルバ目掛けて。カガリの「お前達ぃ!」との叫びも届かない。
ルナマリアの砲撃は当たらず、ルナザクは大破。メイリンが「お姉ちゃん!」と思わず叫ぶ。
シンはムラサメを何機か落とす、そのシンを落とそうとしたキラの前にまたアスランが現れる。
馬場一尉のムラサメは、被弾しながらもミネルバに真っ直ぐ突っ込んで、右舷に特攻、爆散。

特攻隊が美化される、でも実際にそれで死んでいくのは、人なのだ。
政治が誤れば無意味な戦いにも出なければならない、そしてそこで死ななければならない、それが兵士だ。
国に殉じなければならない、それがどれほど間違っていようとも、ただの手段である一兵士に、死ぬこと以外の何の道もなくて、心中何を思おうとも、死なねばならぬのだ。
人の命の、何と軽いことか。


アスランとキラは二人で戦闘を繰り広げている。
「仕掛けているのは地球軍だ。じゃあおまえたちはミネルバに沈めというのか!」
「どうして君は!」
「だから戻れと言った! 撃ちたくないと言いながら何でお前は!」
…おーい、ご両人。二人の世界に嵌っている間に戦況は移っていってるんですよ。

ユウナの、兵士の命をへとも思っていない様子にキレたトダカ一佐、タケミカズチを前に出すことを結論。そうして少しでも早く戦闘を終わらせようとする。
自分の命が危ない場面に置かれて漸く怯えるユウナに、「ミネルバを落とすのでしょう。ならば行かねば!」と厳しく言うトダカ。
人の命を預かる重みを、ユウナは欠片も感じていない。

シンはソードシルエットでオーブ艦を斬って斬って斬りまくる。バーサーカーモードは解除される気配もなく、沈んでいく艦。それにカガリが泣いて「やめろおおっ!」と飛んでいく、それを追いかけるキラ、さらにそのキラを追うアスラン。
…アスラン、頼むからキラよりもカガリのことを考えてやってくれよ。頼むからさ。


「分かるけど、君の言うことも分かるけど、でもカガリは、今泣いているんだ! こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだぞ! 何故君はそれが分からない! この戦闘も、この犠牲も仕方がないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そうして君は撃つのか! 今カガリが守ろうとしているものを! なら僕は、君を撃つ!」
キラよ、「こんなこと」になった責任の大半は君自身にあると何故気付かぬ。
結婚式場から国家元首を攫う愚を犯し、カガリの施政を助けず、オーブをここまで追い込んだのは実は自分たちだったと、何故君はそれが分からない?
「仕方ない」、それはキラ自身の言い訳じゃないか。オーブがミネルバと敵対することになったのも、それはオーブが、その為政者と住民が選択した事じゃないか。
今泣いてる? 無力だった自分自身の弱さと愚かさに泣いているの間違いじゃないのか?!
カガリが守ろうとしているものが仮にオーブの理念だったとしよう、だがそれは、今お前自身が「撃ちたくない、撃たせないで」とほざきつつ撃っているそのことそのもので既にないがしろにしているモノではないのか?

種割れしたキラにアスランが敵うはずもなく、粉砕されるセイバー。
…アスランよ、先輩風吹かせてキラに拘泥しなけりゃ、ミネルバを守ることに集中できたはずなのにな。
無駄にセイバー落とされることもなかったろうに。

タケミカズチは、沈むことを前提にミネルバへ向かっていた。
「ユウナ様はどうか脱出を! 総員退艦!」
空母が何故前面に、とタリアは訝るが、空母を沈めさせて兵の命の安全を得るしかないトダカの策だとは知るよしもない。
カガリはタケミカズチを止めようとし、シンはカガリを落とそうとし、そこへムラサメが「カガリ様、どうかお下がり…っ」と、カガリを庇ってシンに落とされる。
カガリよ、あんたの声はまるっきり届いていない訳じゃない。

「ミネルバを落とせとのご命令は、最後まで私が守ります。艦及び将兵を失った責任も、全て私が! これで、オーブの勇猛も世界中に轟くことでありましょう。
総司令官殿をお送りしろ、貴様らも総員対艦! これは命令だ。ユウナ・ロマではない、国を守るために」
トダカは一人、艦に残ろうとする。一人でも多くの命を救うために。
アマギが言う、「私は残らせて頂きます」と。
「駄目だ」
「聞きません」
「駄目だ! これまでの責めは私が負う、貴様はこの後だ! 既にない命と思うなら、思いを同じくする者を集めて、AAへ行け! それがいつかきっと、道を開く。…頼む、私と、今日無念に散った者たちのためにも、行け!」


炎の中、タケミカズチに一人残るトダカ。
そこにシンのインパルスが迫る。
シンはそこにいるのがトダカだと、気づきもせず、怒りに溢れてソードを振う、吹っ飛ぶトダカ。
トダカが最期の一瞬に思ったものは、2年前、家族を失って泣いていたシン、だった。そこに被る、EDの前奏。

あんまりだ。あんまりすぎる。トダカはインパルスに乗っているのがシンだと、知っていたのではないだろうかと思うと、余りに余りだ。
シンは恩人を手に掛けたことすら気づけなかった、せめて最期の一瞬、シンがトダカにちらりとでも気付いたなら、よかったのに。………だが、戦争とはそういうものなのだろう。そういう、無情で残酷な。
ED入りにバーサーカーモードのシンが大写しになる、その怒りすら、哀れに思えてならない。
# by gil-mendel | 2005-04-30 22:28 | seed-destiny

phase-27「でも今のあのAAの方はどうかしらね」

議長デストロイ関与発覚! キラとラクスを思い苦い顔をする議長! 議長真っ黒だよ議長!
あんたの壮大な理想の世界、それがどんなものか、是非拝ませていただきたい。



27話「届かぬ想い」。シンのステラへの想いも、ステラのネオへの想いも、ネオのステラ達への想いも、アウルの喪失感も、トダカらのカガリとAAへの想いも、カガリのアスランへの想いも、アスランのカガリへの想いも、ルナマリアのアスランへの思いも、そしてディアッカのミリアリアへの想いも、何もかもが届かぬ思いだと、言うのか。


ラクスらの奪ったシャトルが乗り捨てられているのを、ザフトが発見。
ラクスと虎はデブリ帯に隠してあったエターナルに乗り移っている。ええと、明らかに皆さんザフト服なんですが…ということはザフト地下組織がエターナルを守っていてくれたということでいいんですかね? しっかし、そんな組織があるなら、わざわざラクスがプラントに行って情報蒐集せんでもよかろう。それに、ミーア情報とかラクス襲撃以前に知っていて叱るべきだろうし。手抜かりだらけの地下組織、万歳。

「何処の誰だろうが、そんなことをする理由は一つだろう。彼女の姿を使ってのプラント国内の混乱だ。そんな風に利用されては、あの優しいラクスがどれほど悲しむことか」
いえ議長、あなたの言葉に被ってたミーアは超腹黒でしたからっ!
ミーアをラクスの代替にというのは、ミーアの人間性にかなりの問題があるのではと。ぼろ出し過ぎですよミーア。
これでばれないと議長が思ってたら超小物。

チェス盤を見遣る議長の後ろには、月面を空撮したような大きな絵が。盤上の駒はやや増えているか?
そして議長がスゴイ発言と表情かましてくれましたよ!
「だが、奴らが離れたというのは幸いか…ラクス・クライン、そして、キラ・ヤマト」
キラの名を思ったときの議長は完全黒。敵愾心丸出しの、絶対人には見せない表情で。

先の大戦で間に入り戦争を止めようとしたグループの、幾人かを議長は手中に収めてきた。
中でも最大なのはアスラン。第1クールはアスランを懐柔するために展解された物語であるといっても過言ではない。イザークとディアッカは極刑から救うことで恩を着せて手の内に。
カガリは、恐らく大したことはできぬと議長が踏んだか。
だが、もともと議長の思想は「戦争がなくならぬから力が必要」の方向性なので、AA的なキラやラクス、マリューに虎などはやはり議長の描く理想の世界からは大きく外れる。そして、取り込むことも、難しい。
中でもキラは遺伝子情報としては喉から手が出るほどのものを持っている。生体で手に入れたいが、その思想はあまりに相容れず、アスランを通じて落とすにもアスランが力不足で、手を拱いていたところではなかろうか。
三本の矢もばらばらにすれば折るのは容易い。
議長が彼らを、個別撃破する様が、見られるのかどうか。楽しみだ。


ジブリールに叱責されるネオ。ネオの横には瓶に入れられた小さい魚がある。ステラを想ってのものだろう。
一方ジブリールの側では、画面にデストロイの情報がある。ええと、「STURM FAUST(荒れ狂う暴力?)」って何ですか。単機で一都市を壊滅させられる、そんなものを作って何がしたいんだブルーコスモスよ。
「あのミネルバは正義の味方のザフト軍だなどと、反連合勢力に祭り上げられ、ヒーローのようになってしまっているじゃないか」
そりゃ、民衆からどう見えるかを計算するのは議長の方が遙かに上ですからね。ジブリールも情報戦に出るべきだと思いますが如何。

ネオとジブリールの話の後ろで、時は夕暮れ。スティングとアウルがバスケに興じ、ミネルバはガイアを積み込んでいる。あれ?…すみません、先週積み込み終わったものだと思ってました、ガイア。レイが整備班と何やら話していたのはガイアの話か。つうか、まだ動くのか、ガイア。

ルナマリアがタリア艦長にスパイ結果を提出。…あ、ディスクが一つ足りない。やはりミーアに関わる部分は削除したのか。
先にアスランがAAと共に戦ったから嫌疑が掛かっているのか、だとしたらアスランを隊長として仰いでいいのか、と問うルナマリアに、タリアは被せるように否定する。
「今回に関しては、目的は恐らくAAのことだけよ」というタリアだが…「恐らく」ということは、タリア自身も上、議長からの指示があってルナマリアにスパイ行為をさせたということか。
「彼が実に真面目で、正義感溢れるよい人間だということは私も疑ってないわ」
へえ。タリアさんがそんな風に思っていたとは知りませんでした。
「でも今のあのAAの方はどうかしらね。…何を考えて何をしようとしているのか、全く分からない」
そう、分からないですよね。他者から見て意味の分からないゲリラ行動は、支持するものなどいないだろう。AAはその旗幟を鮮明にして世界にその支持を請い共に立つ者を得るべきなのに、何をしようとしているのか分からないのでは、意味をなさない。先の大戦とAAが違うのはそこだ。戦術論からして間違っている。

アスランへの嫌疑が晴れて一息つくルナマリアだが、しかし、偽ラクスの情報がどうしても言い出せない。報告者の態度としては全くの論外だが、しかしやはり、これは重すぎる。議長の体制を根底から覆しかねない情報をうっかり知ってしまった一兵士としては、それを抱えて墓場まで行く方が、安泰だ。だが誰にも言えない秘密は重すぎる。分かち合う者がいない秘密に耐えかねて、人は穴を掘ったりもするのだ。
ここで艦長に言っておけば、彼女の人生は大きく変わった、かも知れない。

提出された写真を見て暫し考えるタリア。
一方、プラントの暗い執務室で同じように考え込む議長。その視線の先には、ジブリールの元にあったのと同一の、デストロイの情報が!
デストロイにまでロゴス通じて議長が一枚噛んでいるとでも?! 一枚噛むのはスーパーフリーダムくらいにしておけよ議長! ていうか本気で何がしたいんだっ!! 実はあんたも世界を滅ぼしたいなんて、思っちゃないよな? あんたは世界を己の導く平和に置きたいだけで、ただその手段が著しく誤っているだけで、滅ぼしたい訳じゃないよな?! 或いは、意のままにならぬ集団はやはり滅ぼした方が世界人類平和のためだとでも?!? それとも、デストロイを使うほど連合は汚いと示したいがために密かにデストロイを作らせてたか?!
議長、あんた本気で真っ黒だよ!!


ミネルバの医務室で苦しむステラ。最適化が必要なのだが当然ミネルバではそんなことは分からない。何もしてやれない、無力感に嘖まれるシンに、ステラはシンの名前を呼び、「守る…」と呟く、でもシンがしてやれることは、手を握るくらいでしかなくて。
ステラの幸せってどういうことなのだろう、と考えてしまった。
ネオの元に帰れたとしても、所詮は生体兵器、戦い続けることしか道はないのだ。最適化の道具も薬も、連合軍のもの。そこを離れたら死んでしまうにしても。
ミネルバにいても、エクステンデッドだと判明した以上、プラントへ連れていかれれば人体実験の材料にしかならぬだろう。連合軍の非道な行為の一環として喧伝されるにせよ、所詮は材料なのだ。
いずれからも逃げられたとして、既に身体を蝕まれているが故に、死ぬのが目に見えている。
ステラにとっての幸せは、何なのだろう。

レイは…また部屋で一人PCに向かって作業をしている。つと上げる顔は、甚だしく厳しく、何かの決意に満ちたものだ。
それが議長がらみでないことを、祈りたいが…。


ミネルバブリッジ。ステラをロドニアラボのデータと共に運ぶことが示される。
「しかし、何だか具合が良くないとも医師の方から聞いてますし」
アーサーが普通の人だなあと思うのはこんな時だ。真っ当な、反応。
ザフト上層部はエクステンデッドデータが相当に欲しいらしい。…ステラの扱いが、気がかりだ。


ネオとユウナ、トダカ一佐とアマギがタケミカヅチにて作戦話し合い。
ネオの出した案はどうやら、ミネルバを待ち伏せして叩き、オーブ軍を丸ごと生贄にするもののよう。
トダカがかなり反対するも、莫迦ユウナに「ここまできてそんなことを言い出されても困るなあ。…君たちはこっから先のことを考えてくれればいいんだよぉ」と言い出され、自軍を平気で犠牲にする案を撤回させることができない。
「ユウナ様は的確ですなあ。決断もお早い」いや、何か考えている訳じゃないですから。
「これでミネルバを撃てれば、我が国の力も世界中にしっかりと示せるだろうねえ」…撃てれば、ね。負ける確率の高い案に、そうそう乗るモンじゃありませんぞ。ましてネオは弔い合戦モード、そんな先のない戦いの先陣を切るなどということは、武将として失格です。…あ、ユウナは軍人じゃなかったか。軍人ならもっと自軍を大切にするよな。トダカなんか死ねと言われたも同然でしょう。
「ご命令とあればやるのが我々の仕事です」死ぬと分かっていて、無駄な戦と分かっていて、行かねばならぬ、なんて。
なのに、さらにそこにネオが追い打ち。「あの代表と名乗る人物は偽者だと仰いましたな」。ううむ、汚いよ。
ユウナもそう言われては、とカガリを否定。「敵でしかない! そうだな、トダカ一佐。だから貴様も撃った!」
フリーダムが全て弾丸を撃ち落としてくれると信じてトダカは一斉射撃を行なった、けれど、当たり前のようにその意志はAAにもオーブ軍にも伝わらず、ただ撃ったという結果だけが、残る。
「は、はい」と答えるトダカが、辛い。


一方、キラはミリアリアを連れて海の底のAAへ。
「あたしのやることにああだこうだ言う男なんて、こっちから振ってやるんだから!」
そういう理由でディアッカと分かれた訳ですか。ま、その程度の理由なら最終話までにはくっつくだろうな。ディアッカが折れる形で。
AAは、クレタ沖でミネルバとオーブ軍が戦闘に入ることを察知。


策敵機を察知した連合・オーブ軍は戦闘モードへ。
その中で、アウルが一人振り返る。何かが足りないような、もう一人いるべき人がいないような、そんな気がして。
「なんか大事なこと、忘れてる気がするんだよなぁ」
「なんだよ、大事な事って」
「それが分かんねえっつってんの!」
…記憶、ない方が本当に幸せですか、ネオ。
ファントムペインとは幻肢痛という意味。無くしたはずの腕が痛んだりするような、幻の痛みを指すという。
彼らは正に、欠落したものの痛みを、幻のように、けれどぴりぴりと感じているのだ。
大切なものを喪って、けれどそれがあったという記憶がなければ、涙すら流せない。
いつ彼らはステラを思い出すのだろう。それが彼らの死と同時なら、辛すぎる。


オーブ軍の一部を探知したミネルバも戦闘モードへ。タリアは完全に油断していたか。先日あれだけ激しくやり合った直後にまさかもう一度囲まれるとは思っても見なかったろう。
ブリッジ遮蔽時に、アーサーが艦長の横で椅子に手を添えていたのが笑えた。あんたの定位置はメイリン横じゃなかったっけか? 艦長の傍の方が安心か?

ルナマリアは食堂に入りかけて、アスランに声を掛けにくくて止まっていたところにコンディションレッド発令となり、そのまま去る。
いつか問える日が来るだろうか? 発してはならない問いを。


ミネルバはインパルスとセイバーを出そうとして、その前にオーブに一斉射撃を喰らう。被弾は激しく、表面装甲が第2層まで貫通される。ええと、アーサーいちいち驚くのを止めてくれたまえ。副長じゃなきゃ本当に普通の感性を持った奴なんだが、…戦闘中に驚く暇があったら「あなたも考えなさい!」だわな。
予想よりもオーブ軍は多く、J.P.ジョーンズを探し出せないミネルバ。

「弔い合戦にもならんがな…ステラ。だが今日こそは、あの艦を撃つ!」
ネオがそうまでしてミネルバにご執心なのは、ジブリールの指示の他にも何か理由がありそうだ。
ネオにとってステラは、大切な子どもみたいな存在なのだろうか。

カオスとセイバー、アビスとインパルスが戦闘に。


一方、AAではカガリが悩んでいた。
アスランに指摘された様々な問題を思い浮かべるカガリ。「くそおっ!」って…それは指摘して自分の元に戻らないアスランへの? それとも思うように行かぬ自分自身への?
キラはあっさり「行きましょう」という。「ラクスも言ってただろ…まず決める、そしてやり通す」。ええと、それを言ったら風呂でこっそり聞いてましたってバレバレだと思うんですが。出歯亀疑惑かけられたっておかしくないぞ。
途中で迷うなと、アスランが指摘したことにも目を向けるなと、キラは言っていることになる。前回ラクスを送るときにアスランの言葉にやや迷っていたキラはもうさっさと退場してしまったようだ。悟るまでの時間が異常に短い奴はこれだから嫌いだ。
決めたことをやり通す、そのこと自体が悪い訳じゃない。けれど、立ち止まって思い返すことはどんな時でもやはり必要だ。ただし、この場合に限って言えば、目の前でオーブ軍がミネルバと戦闘に陥ろうとしている、それを止めたい気持ちだけは、分かる。方法が甚だしく間違っているだけで。
発進しようとするAAにカガリが驚く、そのカガリをミリアリアが退かせて席に着く。
「世界もみんなも好きだから、写真を撮りたいと思ったんだけど、今はそれが全部危ないんだもの。だから守るの、あたしも!」
ちょっと、不覚にもじわわっと来た。

熾烈な戦いが始まったクレタ沖。今までのいずれよりも悲惨になりそうな、そんな様相を見せ始めた海へ向けて、AAが海面から現れ、ルージュとフリーダムが射出されたところで、ED。
……ED、曲はとてもいいのだが、その曲が被るものを「善」に見せてしまう変な効果があるようで、どうも納得行かない。
これから悲惨な場面が多々出てくるだけに、どうなるのやらとやや不安に思う。
# by gil-mendel | 2005-04-23 22:03 | seed-destiny

第3クールED

天国でしか起こりえない、それはあり得ない時空でのあり得ない平和を描いた、切ない世界。
第3期のEDは、切ない優しい曲にのせられて、静かに語られる、子守歌のような、夢。



陽の燦々と照る、緑の丘。様々な時空での様々なプラントの人々が、平和に笑っている。緑の大地の向こう、山のように見える半分緑に覆われた白い大きなものは、だが人工物のようにも見える…例えばジェネシスとか?
左端の奥には小さくMS4機。左からルナザク、セイバー、レイザク、ともう1機は緑ザクか。
ニコルとディアッカ、イザークにシホ。彼らは皆赤服を纏って、楽しそうに笑いあっている。 中でもニコルは、手前のアスランに向かって笑顔で駆け寄ってこようとしている。

手前にはアスランとミーア。ミーアはアスランの腕にぶら下がるように飛びついているが、アスランの目線はニコルに向けられている。二人とも本当に幸せそうに、笑っている。アスランにはフェイスのバッジが。

その後方に、ハイネとミゲル。二人は、皆を見守るように、静かに立っている。

やや手前に、ラウとレイ。ラウは白服で、仮面を付けたままだ。彼は逆光となっていて、腕を組んでやや俯いている。表情は固い。目線の先には、アスランがいるようだ。
レイはそんなラウとやや反対側を向いて立っている。光は顔に当たってはいるが、その表情は一人寂しげだ。
この二人は共に立つべくして共に立っているのだろう。

レイの視線の先にあるような、木の根元に座り込んで語らう議長とタリア。
議長はタリアの肩を抱いて、明るく話し込んでいるようだ。タリアは横座りでちょっと可愛く、その話に半分「狸め」とか思いつつ聞き惚れているよう。胸にはフェイスのバッジがある。
この樹の後ろに密かにアーサーがいるのが笑える。立ち聞きですかアーサーよ。

メイリンはルナマリアを追うようにして走っている。二人の視線は明るく、二人とも仲良く笑っている。不仲説など嘘のように。

さらに右奥の木の根元、ダコスタが腕組みをして立つ傍に、アイシャが虎を膝枕してやっている。


次には夕暮れの波打ち際、多分場所はオーブ海岸。海にはAAが浮かんでいる。

左奥の樹に一人凭れるのはナタル。その樹の反対側では、ムウがマリューを抱き寄せている。三人とも地球軍の軍服だ。

近景ではシンがマユの手を取っている、でもシンは赤服なのだ。時空的にあり得ない、二人。

その後ろで、樹に凭れたミリアリアは腕組みをしている。オーブの軍服を着ている。

さらに遠景、クロトとオルガが立つ土手にシャニが座っている。
一段低いところにはスティング。スティングが向ける視線の先にはステラが、裸足で海に入っていこうとしている。そのやや左にアウルが同じく波打ち際で、ステラを見ている。

マユの後ろに、白いドレスを纏い髪に赤い花を挿したカガリがいる。カガリの表情は何かに戸惑ったように、その先のラクスを見つめている。

ラクスも白いドレスを纏い、そしてキラと手を繋いでいる。けれどキラはやや振り返っている、その後ろにはフレイが海に背を向けて立っているから。


次の絵、背景は宇宙とミネルバ。
シンが右手を握りしめて立つ、その後ろにはルナマリアとステラ。二人の視線は、シンを見ている。
シンの右手には、あの貝殻がやはりあるのだろうか。


再びオーブ海岸と思われる夕暮れの海辺。
手前で、海に背を向けて立つアスランに、光は当たらない。彼の胸からフェイスのバッジは外れていない、暗い目で見つめるのは何なのか。
背を向けるようにして立つカガリ、白いドレスは風に靡き、胸の前で祈るように重ねた手には、きっと指輪があるのだろう。
そのさらに奥、アスランと同じ方向を向いて立つミーア。
アスランとカガリが次第に離れていく、それがとても気がかりだ。
カガリとアスランの別離、そしてミーアと同じ方向、陰を向いて歩いていこうとするアスランを示唆しているというのか。


旧AA艦内と思われる場所で、集合写真。
真ん中にムウがウインクして笑い、彼が抱き寄せるのはナタルとマリュー。マリューは嬉しそうに、ナタルはやや困った感じで、二人とも「あん!」と言いたげな口で驚いている。
その両脇に、チャンドラ2世とノイマン、いずれもちょっとムウをジト目で睨んでいるようで、おかしい。

夕暮れなのか、淡い紫色の空と海を背景に、踊るラクスとそれを守るように立つ、キラ。
彼らの信頼は揺るがない、離れていても。


青空の下、MS3機を前に、ザフト現赤服4人組が立つ。
4人なのにMSは3機なのが異様。
左からMSはインパルス、、プロヴィデンスにやや似た機体(当面プロヴィデンス改と呼ぶ)、デスティニー。
人の並びは左から、レイ、ルナマリア、アスラン、シン。シンが明るく空を見上げているのに比して、アスランはそのシンをやや見遣る難しい顔。ルナマリアはやや微笑んで前を見ている。レイは何故か決意を秘めた難しい顔をしている。
デスティニーにシンが乗り換えるとしてインパルスはルナマリアが乗ることになるのか。プロヴィデンス改には機体性能を考えてレイだとすると、アスランは一体? MS乗りから政治家へ、転身するとでも?


同じ青い空の下、やはりMS3機の前に、AAの5人が立つ。
MSは左からストライクルージュ、スーパーフリーダム、虎機。
人は左から、ミリアリア、マリュー、カガリ、キラにラクス。
MSに人が完全に対応していない、少なくとも虎がいるべきなのにいないのが気に掛かる。
ここで初めてカガリが笑っている。ミリアリアの表情も明るい。
何故だろう、AA側のMSは、他の2機が頼るかのようにフリーダムに視線を向けているようだ。
彼らが、EDのトリを務める。彼らの団結が、救いだと言わぬ気に。



何故こうまで、EDにはあり得ない、起こりえない時空の物語が懐かしい思い出かのように語られるのだろうか。
平和は望めぬ、あり得ない世界の物語なのだと、誰かの見た果てない夢なのだと、言うのだろうか。
3期EDというよりも、4期ED、もしくは最終話のあとに流れるような、切なさ。
「I Wanna Go To A Place...」というEDテーマのタイトルが、切なさに輪を掛ける。
行きたい場所、そこはあり得ない世界。「いつでも思い出すけど/もうどこにも戻れない」。
それは何と、心臓をかきむしられるほど、辛いことなのか。
# by gil-mendel | 2005-04-17 13:03 | seed-destiny



議長至上主義。黒くて結構!

by gil-mendel
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