ちっちゃな種が暮らしいい。

あんたって人はぁっ!

種運命最終話………唖然茫然としながらまずは手短に叫びだけ。通常の感想は多分日曜日になるんじゃないかと。
現時点での叫びなので、もう少し考えたらまた色々変わるかも知れません。

皆さんにお尋ねしたいのです。この物語の1話から49話まで見てきたはずだったのですが、私が見逃している話数がもしかしてあるんじゃないんでしょうか。
48話あたりに何か違う話が入っていたんじゃないかな。それとも今回は最終回じゃなかったのかな。実はCMの間に全国的には何か違う話数が流れていたりしてませんでしたか?
大団円ってこういうことじゃないだろう………。

ステラ…「明日ね、明日」って……切なかったなあ。
シン………生きろ。主人公だろう君は! どうしてこの物語は主人公そっちのけで話が進むんだよ! 可笑しいだろう! とりあえず生きてくれ、頼む。オーブを消滅させなくて、君のために良かったと思うよ。カガリでもラクスでもなく、オーブで辛いめに遭った、君のために。
レイ……………そうか。君か。分るような気もするし、分らないような気もする。君も議長の思考統制下にあったということなのかもしれないな。最後、「おかあ、さん…」と言ったっけ。「父も母もない」が、何より実はそれを望んでいたのかな。
議長。今回あなたには言いたいことがたくさんあり過ぎます。首洗って待ってて下さい。
タリア。あなたが議長を撃ってくれる方が、議長は喜んだかも知れないな。だが、ありがとう。
[PR]
# by gil-mendel | 2005-10-01 18:44 | seed-destiny

phase-49-02 「キラ・ヤマト…お前の存在だけは、許さない」

49話「レイ」の後半を。

「一応出ていって瞬殺されてくる?」と言うディアッカにイザークは「そんな根性なら最初から出るな!」と怒鳴って自分も出撃していく。ヴォルテールには後方支援に徹するように言いながら。
この段階で、ディアッカは寝返る意志満々な訳だが……ミリアリアという存在がある以上、ある程度仕方のないことなのかも知れないけれども、そうならそういう描写をもっと以前に入れておけば良かったんじゃないかと。


タリアはAAと対峙しながら、オーブでマリューに出逢った時のことを思い出す。
「私も同感よ。だから今は戦うしかないわ……終わらせるために!」
それに重ねて思うのは、プラントにいる子、5話の艦長室でユニウスセブン墜落の動きを聞いた議長(バスローブだよ)、かつて議長と別れた際に交わした握手、椅子に座る議長。
意外に、タリアの感情のかなりの部分を議長が占めているのだなあと思った。議長を知るタリアさんには議長が怪物になる前に留めてやりたいという思いもあるのか。
「終わらせるために」、か。
そうだな、あらゆるものを終わらせなくてはならないのかも知れない。
「ザフトの誇りにかけて、今日こそあの艦を討つ!」
そうそう、タリアさんはこういうキャラだよ! 決して離反せずザフトの誇りを堅持してくれる、そして離反せずして過ちを糺してくれる、そういう人が欲しかったんだよ!
……もう見渡せど、タリアさん以外に見あたらないキャラだけれども。



シンをパイロット控え室に置いたまま、議長とレイは二人きりで話をしている。シンに聞かせられない話? まあそうかな。
「ステーションワンはもうまもなく墜ちるだろう。だがまあいい、換えはまだある。その後彼らは、恐らくそのままこちらへ来るだろう。何と言っても数が少ないからな」
「はい」
ミネルバが守ろうとしているもの、それが直に墜ちると議長は断言する。戦局が読めてしまうのも虚しいものだ。
「ミネルバや守備隊が大分消耗させてくれるとは思うが、だが分っているな、彼らは強い。それで討てねば全てが終わるぞ」
「分っています」
ミネルバでは撃破できない、それを見越してデスティニーとレジェンドを議長は自分の身を守るために呼び寄せたのだという訳だ。レイに最終決戦の覚悟をさせる、その心中や如何に。


一方、ルナマリアはエターナルを襲撃しようとしていた。だがそこにはメイリンがいる。
自分に(これでいいのよね、これでいいのよね、シン)と言い聞かせながら撃とうとするルナマリアに、メイリンが回線を使って呼びかける。
「お姉ちゃん、やめて! 何で戦うの、何で戦うのよ! どのラクス様が本物か、何で分かんないの!」
………正直唖然とした。
メイリン…君はミーアの死に際に傍にいたんじゃなかったのか。本物かどうかという問題じゃないことを、どうして学んでくれないのか。AAに行ったことが少しでも君を成長させてくれればと思っていた、だが、明らかに君は状況に流されただけで自分で深く考えるということをせず、その場の感覚だけで動いただけではないか。
何で戦うのかだと? プラント管轄下の宙域で戦闘を仕掛けてきたのはAAの側ではないか。「真のラクス様」のもとにプラントが馳せ参ずべきだとでも君は言うのか?
君にはこの言葉で充分だ。
「本物なら全て正しくて、偽者は悪だと思うからか」
…君の言葉のせいで躊躇した姉がドムにやられそうなんですけど。どうするんですかね?


タリアはタンホイザーでAAを撃つことに。AAは後ろのエターナルに当てないためには動けない……いやエターナルと通信取れるんだからエターナルとともに回避できるんじゃないんですか?
タンホイザーが撃たれる、そのブリッジを、だがアカツキが防いだ。
……………これがやりたくて名無し男をアカツキに乗せたのかーーーっ!
画面の前で思わず「まーたーかーっ!」と叫んでしまった…。
アカツキの防御力は普通ではなく、タンホイザーを完璧に防ぎきる。いやそんな…ありえないって。無理だって。溶けるって。
防いだその弾みで、名無し男に記憶が甦る。それによると、前大戦で「不可能を可能に」し損ねて溶解したはずが、九死に一生を得てジブリールに助けられたものらしい。………はあ。
ついでに名無し男はタンホイザーを一発射抜く。角度的に無理があると思うんですけどねえ。
その上、フィンファンネルバリア…じゃなかったドラグーンでバリア作ってAAを防御ですか。はあ……アカツキって金かかってるだけあって便利な機体ですねえ。その装甲をムラサメにも施してやれよと。
名無し男にはほとほと呆れましたが、でも以下の言葉だけはちょっと心惹かれたかも。
「終わらせて帰ろう、マリュー」
前作では結局帰らなかったからね。帰らせてあげるのもいいかなと、少しだけ思った。


イザークとディアッカはアスランを発見。
ディアッカは最初から決めていたらしく、AAと一緒にステーションワンを落とすことに。イザークもそれを阻止するでもなく、あっさり加担。
……例えば議長がそれをプラントに向けている段階なら、彼らの行動は必然性を帯びただろう。また既にオーブに照準を向けているのでも、それはそれで納得できたと思う。
だが…このような描写では、ディアッカはただAAの手先で、イザークもそれを追認したとしか見えないではないか。
本当にそんな描き方で良かったんですか? 彼らに再び祖国を裏切らせることに何か積極的な意味が?
ステーションワンを守ることが「大量破壊兵器」を保持することだとして、それが問題であると行動するなら未だ分る。
少なくとも、状況を「自分の頭で考え」て出した結論であって欲しかった。これではただ勝ち馬の尻に乗っただけではないか。そうでないと言うのならそうでない描写があって然るべきだろう。
……ハア。やれやれ、だな。



携帯に縋るシンの所へ、レイがやって来る。
「少しは休めたか。俺たちもそろそろ出撃だぞ」
「ああ、大丈夫だ。状況、ミネルバは」
「ミネルバも奮戦したようだが、ステーションワンは墜された。今は、こちらへ向かっているAAらを追撃している。
…心配しなくても、ルナマリアは無事だ。もっと信じてやれ、彼女は強い」
…すみません、レイ。ルナマリア撃墜もやむを得ないと思ってるんじゃないかと冷や冷やしてました。そうじゃなかったのか。信頼していたんだな、ルナマリアを。
思っていた以上に、彼ら三人は「仲間」だったのかもしれない。
今頃、今頃になって何か暖かいものが去来する。彼らに幸あらんことを。

「奴らはこのまま、ダイダロスへ向かう主力隊と合流しレクイエムを破壊して、オーブのその力を世界中に見せつける気だ。そうなればまた、世界は割れる」
…ああAA連中が勝利するということは世界的に見ればそういうことなのだ。小さいが強い国オーブ、その軍事力が強大であると世界に示すことになれば、まつろわぬ国も出てこよう。それは世界の不安定を勿論呼ぶ。
オーブ国軍が、ひどく悪役に見えた。世界を破滅させるモノに。
「オーブは…」
「お前が救ってやるんだ、あの国を。……そういうことだ」
そういう責任の取り方も、あっていいのではないかと思う。祖国の行く末を案じるが故に、道を過たせぬために祖国を討つ、そういうやり方もあってもいいのではないかと。


メサイアにはネオ・ジェネシスなるものが装備されていた。…ネオという名前の付くモノは大体従来のモノより簡略化されていたりスケールが小さかったりくだらなかったりするようだ。ネオナチとかネオ・ロアノークとか。
今度のは、焼き尽くした範囲も非常に狭く、地球に向けても届きそうになく見えるところから、やはり簡略版と見るべきか。

デスティニーとレジェンドを出して、議長がにまりと笑う。
「さあ、今度こそ消えていただこう、ラクス・クライン」
漸く暗殺未遂について議長が犯行声明を出しましたよ。
お待ちしていました…まあ遅かったですがね。
それよりあなたには、他に述べていただきたい謎が山ほどできましたから、最終話はその謎解きもしていただきたいものです、議長。


インフィニットジャスティスはデスティニーと、ストライクフリーダムはレジェンドと戦闘態勢に。
そこへ「君の姿は僕に似ている」とEDが被って。
レイが大写しになって、ああ、流石にサブタイトルが「レイ」なだけはあるなと思っていたら、レイの声が。
「キラ・ヤマト……お前の存在だけは」
あ、と思ったら、さらに大写しな仮面とパイロットスーツをつけたラウが。
「許さない…っ!」
うわ……っ、キターーーーッ!
「許さない」だけラウの声になってましたよ確かに!
やった、隊長が、隊長が還って来たーーーーっ!

ですが、これはレイにラウが憑依しているというよりも、レイがラウとともに復讐を果たしたいと思っているという一つの描き方なのだろう。
「誰が悪かったんだ?」と問うレイにして、ラウが死んだことへの怒りは激しく持っていたと。
「もう一人の俺」という認識そのままなのかどうか、それは次回で分ることでしょうが、それはそれとして、ラウはキラに自分を殺させたことでキラをも憎しみの連鎖から逃れられないものにした、そのことを喜んでこそすれ怨んではいないのではないかと。
キラに止めて欲しかったと思っていたというのではなくて、所詮は君もそんな人間たちの一人だよと、笑って死んでいったのではないかと。

私たちは人が亡くなると墓を作り、葬式をし、弔う。それはあくまでも、死者のためではなく、自分自身のためだ。
「大切な人を殺された」と殺人者を糾弾し裁かれるべきだと思う、だがそれはあくまでも、大切な人を亡くして穴が空いた心を埋めるためだ。
殺人者を裁いても復讐しても、死者が帰ってくるはず等ないのだから。弔っても死者に届くことなどないのだから。
それはあくまでも、自己満足のためでしかないのだ。

もしかしたらその人はまだ生きていて、隣で笑ってくれたかも知れないと思う、その思いが、人に墓を作らせ、人を裁かせる。
…レイ。もういいんだよ。もういいんだ。
ラウはそんな憎しみに君が囚われることなんか、望んでやいないよ。
自由に、おなり。
[PR]
# by gil-mendel | 2005-09-26 19:52 | seed-destiny

phase-49「俺たちは誰もが皆、この世界の欠陥の子だ」

レイ…レーーイ……っ!!!! ああ、その願いは貴い。血を吐くような決意を、愛おしいと思うよ。にしても「もう一人の俺」発言にはどきりとさせられたよ。
ラウ!! そこで出てくるのか!
シン……君、いい奴だよ…やっぱ。クレジットが3番目に落ちても最終回予告で機体名呼ばれなくても、最終話あらすじに殆ど名前上がらなくても、やっぱいい奴だよ、君は。願わくば、生き延びてくれ。
名無し男………まーたーかぁーーーーっ!!! もういいよいい加減にしろよ。
イザーク…株下げてますよ株。メイリンなんか枠外。
…ていうかさ、種49話が半分くらい流れていた気がするんだが…気のせいか? 気のせいだよな?



第49話「レイ」。総集編でもなく題名になった人が死ぬ訳でもなく…ある意味安心した回ではあったか。
二晩置いて、漸くテンションが落ち着いてきました。これで落ち着いているのかと思われるとは思いますが、土曜夜はもっとひどかったのです、堪忍してください。
文字数が多すぎるようなので、後半と分けます。




アバンではシンとレイがミネルバを離れてメサイアの議長の下へ向かい、キラとアスランがミーティアを装備してレクイエムを落としに向かう。
シンとレイが機体ごと去っていく様を、タリアが、アーサーが、ルナマリアが見送る。突然こんな状況の中二人を呼び出すとはどういう了見かと、タリアならずとも不安に駆られずにはいられまい。
ミネルバに残されるMSはこれでインパルスだけとなる。


ラクスがレクイエムを落とそうとする、その理屈が何よりも笑える。
「私たちはこれよりその無用な大量破壊兵器の排除を開始します。
それは人が守らねばならないものでも、戦うために必要なものでもありません。
平和のために、その軍服を纏った誇りが未だその身にあるのなら、道を空けなさい」
大量破壊兵器だからと? 笑わせる。お前が鍛えていた剣は大量破壊兵器ではないと? 規模が違うから許されると?
巫山戯るな。
所詮、兵器は兵器だ。その殺傷する量をもって線引きするとすれば、では聞こう、一体何人殺せるならば「大量破壊兵器」と呼ぶのか?
そして聞こう、議長ではなくジブリールがその兵器を握った時に同じ理屈で滅ぼさなかったのは一体何故だ?
所詮君のいうことは己に都合の良い政治的喧伝以外の何ものでもあるまい。それは君の行動が一番よく示してくれているよ、ラクス・クライン…小人物よ。
軍と大量破壊兵器は密接に結びついている。軍人にそれを否定しろというのは無理なこと。あんた自身にもだがな。
所詮ラクスには、真面目に兵の心を組織化していこうという気はない。「ラクス様のために」という思考停止の言葉しか、彼女の旗下には必要ないものなのだ。
レクイエムを落としたいなら、それによって生まれる悲劇を説いてみよ。だが彼女にはできぬこと…戦争の絶対肯定を行なった彼女には。
愚かな、余りに愚かな。
…と思っていたら、ミーティアなる大量破壊兵器でザフト兵を殺戮……。
いやはっきりしてるよあんたって人は! 自分の力だけは綺麗な力、自分の大量破壊兵器だけは綺麗な兵器、そういうことだろう?


議長…「問題は数でも装備でもないんだ…問題は…」って、何を言おうとしていたんですか。やっぱり「速さ」?


AAらを「ロゴスの残党」として狩ることを決めたザフト軍を、キラ達は躊躇も見せずにざっぱざっぱと落としていく。ええと、大量破壊兵器って何ですかね? 実際に人がゴミのように殺されていっている、それは明らかに大量破壊兵器じゃないですか。

AA現るの報にアーサーは驚きタリアは唇を噛む。…最後まで驚いてばかりだったねアーサー。それが癒しだったけれど、せめて最終話で少し成長してもらえませんか。

一方イザークとディアッカはAAらの奮戦する様子を見ている。
イザークは重力なかったら怒髪天を衝いてそうにお怒り。ディアッカが何か腹に一物ありそうにそれを宥めている。
「でも連絡ないの当たり前だぜ? 俺たちはザフト軍なんだからな」
…ええと、「俺に連絡もなしに寝返りやがって!」とイザークがアスランを怒っているという理解でいいんでしょうか。ま、立場ないよな。



メサイア議長室に呼ばれたシンとレイだが、シンには覇気がない。レイから聞かされた話が頭をぐるぐる回っているのだろう。議長がそんな彼らに声をかける。
「確かに、アーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下、そして開戦からこんな事態にまでなってしまったのだ、誰だって戸惑うだろう。
だが、そんなやりきれないことばかり続いたこの戦うばかりの世界も、もうまもなく終わる」
「はい」
「いや、どうか終わらせてくれ、と言うべきかな。君たちの力で」
「はい」
答えているのは常にレイだ。…ああ、そうやって答えぬ者の傍らで代りに答えたことがあり、一方で傍らに立つ者の真っ直ぐな答えを答えられぬ者として聞いていたことがある。何だろう、レイの返事が胸に痛い。
こういう場に心揺れる者を単独では呼ばぬのも一つの手だ。より信頼でき、心揺れる者を指導している者と共に呼ぶ、そして規範を示させ心を固めさせる、そのようにしてきたではないか。


ラクスはエターナルから呼びかける。
「このようなもの、もう何処に向けてであれ、人は撃ってはならないのです」
願わくばその言葉、ジブリールがレクイエムを撃った時に聞きたかったね。
ラクスの声に躊躇したザフト兵をあっさりとインフィニットジャスティスが撃破していく…それは卑怯というものではないですかね?


尚も議長の言葉は続く。
「今、レクイエムのステーションワンがAAとエターナルに攻撃されている。私があれで、なおも反攻の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったので、それを口実に出てきたようだが、いや、全く困ったものだよ。
我々はもう、これ以上戦いたくないというのにね。これでは本当にいつになっても終わらない」
議長、本当に困ってますかあなた。読み違えて、アルザッヘルを討っておけばAAが意気込んでやってくる、それを叩けるとでも思っておいでなのでは? しかし相手が相手だ、議長の目論見は確実に失敗に終わるだろう。
だが議長、シンがレクイエムによるアルザッヘル攻撃を肯定するという前提があるようですが、どうでしょうかね?

議長の言葉に応えたのは、またもやレイだ。
「はい、でも仕方ありません。彼らは言葉を聞かないのですから。
今此処で万が一、彼らの前に我々が屈するようなことになれば、世界は再び混沌と闇の中へ逆戻りです。
嘆きながらも争い、戦い続ける歴史は終わらない、変わりません。
そうなれば人々が平和と幸福を求め続けるその裏で、世界はまたもかならずや新たなロゴスを生むでしょう。
誰が悪い訳でもない、それが今の人ですから。
俺はもう、絶対に世界をそんなものにはしたくありません。
漸く此処まで来たのです」

『言葉を聞かない』というフレーズは今まで幾度も調子を変えて繰り返された。多分この作品の主題の一つなのだろう。
『言葉だって聞いたろう!』(アスラン)、『私の言葉が聞こえないのか!』(カガリ)、『私の声は届いていただろう?』(議長)。
言葉が届くこと、言葉を聞くこと、それは世界を変えること。
だがそれは、遙か上から降ってくる言葉であればあるほど、その言葉を聞くことは『王化に帰する』意味合いが強くなる。
言葉は同じ地平で同じ視線の低さで発されてこそ、それに対する応答が為されうるのだ。
議長の発する言葉もAAの発する言葉も、どちらも高みから降る言葉であるが故に、互いに届かず、互いに聞かれることがない。
議長の言葉がより響くのは、高みから降りながら僅か上から導くような偽装が施されているからだ。
だが、シンにはそれでは全ては届かない。だから通訳者としてのレイが必要なのだ。己のすぐ隣で、自分の深淵を通して血肉に噛み砕いてくれるレイが。

にもかかわらずそれでも、いやそれだからというべきか、レイの願いは真っ直ぐで、そして恐らくは紛う方なく彼の本心だ。
レイの嘆きは深く、であるが故に己を捨ててでも新たな世界を望む。
自分を生み出した世界を破滅させるのでなく、変革することを望んだレイは、真っ直ぐすぎる。
「誰が悪い訳でもない、それが今の人ですから」と言い切れるレイは、個人を怨むことなどとうに通り越そうとしているのだろう。誰が悪いのかという問いを延々と積み重ね、個人がというよりは世界に問題があると辿り着くまでにはだが相当の時間を要したのではないかと思う。その過程は、暗く果てなく、苦しみに満ちたものだったろう。
「俺はもう、世界を絶対にそんなものにはしたくありません。漸く此処まで来たのです」
もう少し、あと少しで世界を変えられる。その切羽詰まった思いが、辛い。
その新しい世界に自分がいないと知って、なおかつ人は新たなもののために闘うことができるだろうか?

ふと、議長の「既にここまで来てしまったのだからね」(44話)を思い出す。


シンはレイの言葉を聞きながら、回想する。
失った妹の、ちぎれて落ちた腕を。
ユニウスセブンを落とした人を。
ロドニアラボで実験材料としての生を終えた子どもを。
その子どもの行き着く先である、息も絶え絶えなステラを。
……シンが繰り返してはならないと思う世界、それはとても、辛い。

「レイ…」
「デスティニープランは、絶対に実行されなければなりません」
「そうだな」
レイの強い願いに押されるシン、自分の願った世界がデスティニープランで実現されると信じるレイ、レイが正しく教導者の役割を務めていることに満足する議長。
…ああ駄目だ、彼らの上にはっきりと「悪役」と烙印が押されているようで、辛い。


キラはじめAA一行は現れたミネルバに驚く。…今更驚くまでもないと思うんですが。宙域にいることくらいご存じでしょう? ましてやザフトの危機ともなれば、現れ出でぬはずがない。そういう立ち位置に、議長が置いたのだから。


議長はシンへと畳みかける。
「君はどうかな、シン。やはり君も同じ思いか?」
「え……」
問われて、シンはレイを見る。自分を此処まで導いてきた者を。そのレイがシンを見ている、自分が託したものが伝わっているのかという眼で。
言葉に詰まるシン。そこに重なる、緊迫したミネルバ艦橋のタリアら、AA艦橋のマリューら、エターナル艦橋のラクスら、さらにイザークとディアッカ、そして、一人ミネルバに残されたルナマリア。
この息詰まる感覚が好きですよ、胸が圧迫される感じで。
「俺は…」
レイを見遣るシン、そのレイがシンを見ている。そして、レイの言葉を回想するシン。

「実際、俺にはもう余り未来はない。テロメアが短いんだ、生まれつき。
俺は…、クローンだからな。
キラヤマトという夢のたった一人をつくる資金のために俺たちは造られた。
恐らくは唯、できるという理由だけで。
だがその結果の俺は、…フッ、どうすればいいんだ?
父も母もない、俺は俺を造った奴の夢など知らない。
人より早く老化し、もうそう遠くなく死に至るこの身が、科学の進歩のすばらしい結果だとも思えない」
「レイ…」
「もう一人の俺はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦って死んだ。
だが誰が悪い、誰が悪かったんだ?
俺たちは誰もが皆、この世界の欠陥の子だ。
だからもう、全てを終わらせて変える。
俺たちのような子どもがもう二度と生まれないように。
だからその未来は、お前が守れ」

レイの言葉にくるくる回るステラを、苦しむステラを、そしてロドニアラボで苦しむレイを重ねるシン。
…シンの中で、ステラとレイが重なっていく。
一方、レイは「もう一人の俺は」としてラウを思い浮かべる、メンデルで銃撃戦のあげく仮面を飛ばされたラウを、キラと戦って散る間際のラウの笑顔を。
レイの頭から、ラウが離れることはないのだろう。

さらに「誰が悪かったんだ?」と半ば自問自答するようなレイの言葉に、最初のコーディネイタージョージ・グレンとシーゲルとパトリック、そして羽鯨の化石の映像が重ねられる。
それは、コーディネイターという存在そのものが問題だったのではとレイが考え出しているということなのか? …判断しにくいな。まだ分らない。

そしてシンの精神世界のような映像へ。このアニメでは珍しいことだ。
は、と衝撃的に気付かされたようなシンの後ろに、パトリック・ザラがアスランを突き飛ばすところ、オーブが灼かれウズミが炎に身を投じ、カガリが泣きじゃくる、そしてマユの携帯を取ろうとしたシンが爆風に飛ばされるところ、ラウの最期の笑顔、幼いレイの頭を撫ぜるラウと頬を染めるレイが、順に流れていく。
そしてレイが微笑んで「その未来は、お前が守れ」と言ったところで、マユとステラ、そしてルナマリアが映った。シンの、守りたかったもの。

レイの声は常に穏やかで。
胸が潰れそうだ。
レイの言葉はいつもいつも胸を衝く。

それでもこれは、シンに対するレイの最後の切り札なのだろう。最後のカードを提示したのは、議長の指示ではなくレイの判断だろうけれども。
己が何者であるかを開示し、自分を生み出した世界を変えると語り、そして新たな世界を守れとシンに言う。…これが遺言かつ切り札でなくて何だろう。
シンにとってある意味残酷な枷だ。だがレイにとってはそれは紛れもなく、真摯な発露であるのだろう。己がいなくなった後の世界を託せる人間として、レイはシンを選んだのだと思う。


だがここで頭を切り換えて、レイの語った内容を検証しよう。
レイがシンに語った言葉をそのまま取れば、レイの現在年齢はキラよりも確実に上ということになるが…? すいません、一体お幾つですか? 確かに公式では年齢も伏せられてはいるが…少し変じゃないかと。
「人より早く老化しもうそう遠くなく死に至るこの身」という割に、ラウのような仮面を必要とするほどでもなく、ラウほどの苦しみでもないようだ。またラウより相当身長低く、あと数年で183cmに育つとは予測しがたい。本当に純粋なクローンなのか? 違う調整が施されているのでは? その影響で老化のスピードがラウに比しても速いのか? ラウと同じアルのクローンならあと10年くらいは寿命がありそうなものだが…? それともラウのクローンだと? とすればレイの語る内容に矛盾するように思えるが。 
レイの言葉通りならラウと同時期に造られた実験体ということになるが、レイについてはコールドスリープされていたと考えるべきなのか? だとすれば「資金のために」発言の意味を考え直さねばなるまい。フラガ家は資金のために後々まで当初造ったクローン胚を材料にさせていたか。まあフラガ家の遺伝子は先読みには定評があり、欲しがる先はある程度あったろうが…。そうなるとアストレイの世界かな。
或いはラウの予備胚が(バックアップを造っておくのは実験上普通ではある)、何らかの理由で流出し、それが育てられたか…とすれば議長の関わる余地もある訳だが。とすれば初めから議長の手は血塗られているとは言えるかな。
そして、気になるのは「俺たち」と繰り返していることだ。ラウを「もう一人の俺」と言ってはいるが、まだ他に成功体がどこかに存在しているような口振りではある。「俺は、三人目だから」なんてこと、ないよな? しかもまたテロメア不全なんて、これ以上許さんぞ!
…この辺りは、次週を待ちたいと思う。次週で明かされなければ、もう好き放題補完しまくってやる。

ちなみに、レイの一人称が「俺」なのは、対シン用ですかね。
議長と二人なら「私」になるんでしょうか。さてさて。


レイの告白を回想して、シンは一度頭を振って目を瞑り、そして様々なものを振り捨ててはっきりと答える。
「はい、俺もレイと同じ思いです」
その声に、レイは眸を閉じてほっとした顔で僅かに微笑んだ。

これほど確信に満ちたシンの声を聞いたことがない。
ずっと迷ってばかりだったシンに、ここまで確かな声をさせたのは、ひとえにレイの導くところが大きかったと言えるだろう。
シンがダークヒーローだとは、思わない。人が人たるべくして望むことをシンは望んだに過ぎない。今にも命尽きようという、人間の欲望が生み出した存在をかつて救えず、今も救えはしないが同じ哀しみを二度と生まない世界を創り、守るという願いを託されてそれに自分を投企しようとするシンの、どこがダークヒーローなのだろう。
偶々、その世界像に過ちがあるだけのことで。
「守りたい世界があるんだ」、前作最終話でキラはそう言った。
シンにも「守りたい世界がある」のだ。同じことを繰り返さぬ、人が人を手段にせず、戦争など起らない、穏やかで優しくて暖かい世界を。
議長の描く世界像とは一致していないことにシンは気付いてはいないが、だがシンの願う世界を否定することは私にはできない。
その真っ直ぐなままでいておくれ、シン。できれば、最後まで。
…無理な願いなのだろうが。

レイが微笑んだ、その表情が忘れられない。
穏やかな、シンに後事を託せて本当に良かったという静かさが。
「遺児を託す」という、自分が死ぬ際に残していく子どもを託せる人が本当に信じられる人だという。
シンがそれに値すると、レイは漸く安心したのだ。……どうか、その願いが裏切られることのないように。せめて、あと僅かの間でも。
[PR]
# by gil-mendel | 2005-09-26 19:45 | seed-destiny

phase-48「俺は…、クローンだからな」

レイーーーっ! ………もう今週はこれしかない。もしかしたら最後までこれしかないのかも知れない、だが、それでいい。
「生きているということはそれだけで価値がある。明日があるということだからな」「どんな生命でも、生きられるのなら、生きたいだろう」
どうして今その言葉がこんなに重く降るのだろう。
そんな風に微笑まないでくれ。そんな風に言葉にしないでくれ。涙がとまらないじゃないか…。




第48話「新世界へ」。その新しい世界は、持たざる者の世界か。
………眠れなかった。言葉にするにはあまりに重く、彷徨いながら言葉を探す。




アバンは先週の復習から。……と思ったら、懐かしい人たちが帰ってきていたよ!
スティングが、アウルが、何よりステラが帰ってきた! もう出てこないだろうと思っていただけに、彼らの戦闘シーンがもう一度見られたことは嬉しかった。
と思っていたら、24話のロドニアラボでパニック症状を起こすレイが。…ああ、この人が結局全ての鍵だったのだと思われてならない。その映像に被る議長の言葉は、「…ロゴスの存在所以です」だった。レイもエクステンデッドも、いずれもが人類の欲望のせいで生まれたのだということか。
デスティニープランが起動する。多元ゲノムデータベースは恐らくメサイアのなかにあるのだろう。ということはこれを打ち砕く戦いにAAが出ることになるのか。



議長がデスティニープランの概要としてPRしたのは、やはり遺伝子データに基づき人間をあるべき役割にはめ込む、高度な管理社会。
ジブリールに叱責される議長がデスティニープランでジブリールを除き、その位置に着くアニメは…いや議長、これあなたが作ったんですよね? いかん、爆笑してしまった。無闇に可愛い。
そのアニメ内アニメで議長とジブリールがそれぞれ渡された緑と赤のカードに、そしてジブリールが連れ去られたことに意味がある。
その前のシーンで、集まる人々から採血し、そしてそれぞれが緑と黄色と赤のカードを受け取り、さらには人々がそのカードを持って各列ごとに別れ並んでいく。一見飛行機の搭乗手続きのように見えるが、これは人の人生を分ける搭乗口なのだ。
赤のカードを受け取るとどうなるのだろう。やはり危険因子として抹殺されるのだろうか。何せ、遺伝子レベルで証明された危険さなのだ、再教育して何が変わるというものでもないのだろうから。そういう点で、再教育という口実の元に長期間拘束したソ連よりも、クメール・ルージュに似たものを感じる。
カードを受け取っていた親子。親が黄色を、二人の子が緑と赤を受け取っていた。あの赤いカードをもらった幼い子は、どうなるのだろう。
ずらりと並んだ列には、黄色と緑しか映っていなかった。とすれば。


レイと自室でデスティニープラン発表を見ていたシンはただ唖然とする。その唖然とすることを見越していたのだろう、レイがシンを強い言葉で抑えに掛かっていた。
「分かっている。だがだからと言って議長は諦めるような方ではない。 それはお前も知っているだろう。今は俺たちもいる。
議長の目指す、誰もが幸福に生きられる世界、そしてもう二度と戦争など起きない世界、それを創り上げ守っていくのが俺たちの仕事だ」
確かにね、議長は不屈ですから。最近話数が少ないので色々焦り気味ですが、基本は常に不屈ですから。
「そのための力だろう、デスティニーは。そして、そのパイロットに選ばれたのはお前なんだ」
人類の運命を託すべく創られた機体。それは多分、レイの願いをも強く乗せた機体なのだろう。
だがシンはそんなこと余り考えていないから、「はあ?」とか言ってしまう。その辺り、シンらしいよ。
だがレイは急いでいる。今しか言う時はないとでも言わぬ気に。
「議長がお前を選んだのは、お前が誰よりも強く、誰よりもその世界を望んだ者だからだ」
「俺?」
戸惑っているシンの向こうの携帯が映し出される。シンが本当に望んだ世界、優しくて暖かい世界、それを実現させるためなのだと。

そこにルナマリアがやってくる。男の子二人の部屋なので、インターフォンでシンに呼び出しをかけるが、それに何故か勝手にレイが出て追い返してしまう。………気持ちは分かるがね、レイ。ドス効き過ぎですよ。
シンも後ろで退いているじゃないですか。
「レイ、何する…っ」
抗議しようとしたシンの言葉をまるっきり無視してレイが言葉を畳みかける。
「だがお前の言うとおり、本当に大変なのはこれからだ。いつの時代でも変化は必ず反発を生む。それによって不利益を被る者、明確な理由はなくともただ不安から異を唱える者が必ず現れる。
議長の仰るとおり、無知な我々には明日を知る術などないからな。
だが人はもう本当に変わらなければならないんだ。
でなければ、救われない!」
どれだけの犠牲を払えば、人は変わるのだろう。どれだけの人を踏み台にすれば、人は変わるのだろう。人が変わらないなら、犠牲にされ踏み台にされた者に救いはあるのだろうか。
シンがその言葉に驚く、それにやや遅れてレイが一度何かに驚いたように目を見開いて閉じる。レイが驚いたのは、シンの反応にではなく、己の身体の変化に対してなのだろう。…ついに、来たかと。
「そりゃあ俺だって、それは分かるけど、でも!」
受け入れようとしないシンに、更にレイは言葉を重ねる。
「あの、エクステンデッドの少女や、あんなこと…二度と繰り返さないためにも、これは、やり遂げなければならないんだ!」
ミネルバの医務室で苦しむステラ、そしてデュランダルから薬を受け取ったラウ、キラに殺されたラウの最期の笑みが回想される。ああ多分、この回想の主体はシンではなくレイなのだと思う。ラウのような悲劇を繰り返してはならない、だから、そのための捨て石になるのだという、決意。…ステラのこと、本心からだったとは。確かにそれは君の意志だった、レイ。
レイの声が震える。やや上を向いて回想していた目が見開かれ、見ればレイの握りしめられた左手も震えていた。
「強くなれ、シン。お前が守るんだ。議長と、その新しい世界を…!」
レイの声が震えているのが本当に辛い。そうまで痛みと恐怖に耐えてでも、今言っておかねばならないことがあるのだと。遺言に似た、自分が居ない未来を確かに今シンに託さなければならないと、覚悟した言葉。
おぼつかない足取りでレイが椅子から立ち上がり、ベッドに顔を覆って座り込む。
「あ、レイ!」
「それが、この混沌から人類を救う、最後の道だ…っ」
「どうしたんだ、レイ?」
シンの声は本当に素直で。レイの言葉よりもレイの体調を気遣っている。常にシンはそういう子だった。弱い者、苦しむ者の近くに素直にいて、気遣うことのできる子だった。
「何でもない、構うな!」
激しく撥ねつけたレイはひどく冷や汗をかいて、苦しそうで。いきなり棚を開いてラウの持っていたのと同じ薬を取り、水もなしに飲む。
……ああ本当に来てしまったのだと、いたたまれない思いに駆られる。
前作のアンチテーゼだというのなら、せめて、テロメア問題の解決されたクローンであって欲しかった。あんまりだと思う。

どうして痛みに喘ぐ者が救われない話なのだろう。どうして虐げられた者が常に苦しみながら救いの光もない中で進まなくてはならないのだろう。どうして何もかもに恵まれた者だけが絶対正義として描かれるのだろう。
救いは、ないと…?
…ああ、ラウが答えてくれるだろう。
「救いとは何だ? 望むものが全て、願ったことが全て叶うことか? こんなはずではなかったと、だから時よ戻れと祈りが届くことか?」
ラウ、せめて願ったことの僅かだけでも叶ってくれと願うことは、いけないことなのでしょうか。
救いなどあり得ないとラウが言いたいのは分かっている、だがなればこそ、救いが欲しくて仕方がない。何かを救いの代りにしなければやっていられない。



慌てに慌てたアーサーが動転して、タリアに叱られている。
「どうもこうもないでしょ? 私にだって分からないわ。戦争は政治の一部よ、そこから全体などなかなか見えるものではないわ。…艦内の様子、気をつけておいてね。みんな、あなたと同じ気持ちでしょうから」
アーサー単純すぎるよアーサー。「皆があなたと同じ気持ち」って、それは副長として間違っても誉められてはいないぞ。
しかしタリアさん。一部から全体を、考えることはできますよ。所詮手段に過ぎなくてもね。



今回という今回は、カガリやキラ、ラクスを見るたびに情けない思いに駆られてなりません。
「だがもうこれ以上、世界を彼の思い通りになどさせる訳にはいかない!」
カガリの主張としての決意さえ、薄っぺらに聞こえてならない。
オーブの理想が全てを守る、そんな理想論など虚しいだけだ。絶対悪と定義した存在を倒す、そうしたいのならガンダムと名の付かぬ世界でやってくれればいい。自らの存在の痛みに基づかない言葉は虚しいだけだ。


AAでもデスティニープランについて検討中。まあ彼らの結論など聞くまでもないが。
エターナルと通信しながら議論…って、虎が名無し男の存在に対してスルーしてるんですが…これはそれより大分前にお披露目ってことでいいんですかね。虎は複雑だろうなあ。昔の名前で呼んでみたりしたんでしょうか。
その中で映るシンとレイ…。枕元でレイの薬を手に取り見詰めるシン。レイが呻いたので急いで薬を棚に戻す。
意識を失ったレイの顔に、キラの言葉が被る…「戦うしかない、か」。

戦いを終わりにしたいというキラにラクスが言う。
「でも私たちは、今は戦うしかありません。
夢を見る、未来を望む、それは全ての命に与えられた、生きていくための力です。
何を得ようと夢と未来を封じられてしまったら、私たちは既に滅びた者として唯存在することしかできません。
全ての命は未来を得るために戦うものです。戦ってよいものです。
だから私たちは戦わねばなりません、今に生きる命として。
私たちを滅ぼそうとするもの、議長の示す、死の世界と」

どうして、「夢を見る、未来を望む、それは全ての命に与えられた、生きていくための力です」に、タリアとその子、そして目を覚ましたレイと枕元でそれを心配そうに見守るシンの映像を被せるのだろう。
タリアにとって子どもは確かに夢であり未来だった、それはまだ許せる。
だけどレイは。レイに何が与えられたというのだろう。夢を見、未来を望んでいなければ生きられない存在に対して、何を言えるというのだろう。その夢の中にも未来の中にも確実に自分はいない、だがその夢を未来を実現させるためにあらゆることを尽くして怯まない、その存在に対して、夢を見ることができるからいいと、未来を望むことができるからいいとでも言いたいのか。
巫山戯ている。
何もかもに恵まれた存在にそんなことを言われる筋合いはない。
どうしてこの物語は、持てる者が常に幸せで、持てない者が常に苦しむのだろう。
レイにとってラクスの言葉が救いにでもなると? ご冗談を。

未来を得るために戦う、だから他者の未来を消し去ることも構わない。
それこそが万人の万人に対する闘争だ。
ラクスは、AAは、永遠に血の道を彷徨えばいい。そんな世界に、私は生きない。

殺戮と戦争の肯定、これが前作に対するアンチテーゼだとでも主張するのなら、笑い飛ばしてやろう。
戦って戦って死ぬの、でないと許さない!
戦いを生命そのものとして肯定するなら、ラクスは死ぬべきだろう。自らの主張に対して責任を取ってもらおうではないか。
絶対不沈の艦に乗る絶対不死の神が戦争を肯定する、その矛盾。
戦争の絶対肯定とは、その中で傷つくありとあらゆる生命に対しての尊厳の否定だ。大量破壊兵器で死ぬか他の兵器で死ぬかは大きな問題ではない。
もしかして、ラクスは笑い飛ばされるために今作にいるのだろうか。最近、そうとしか思えなくなってきた。…ああ、胃が痛い。



議長はアルザッヘル基地へ向けて、直しておいたレクイエムを撃つことを指示。
今までの議長ならコープランド大西洋連邦大統領とコンタクトを取ってその様子を全世界に中継くらいしてくれそうなのだが、よく言えばレクイエムの試射を兼ねて、悪く言えばラクスを絶対正義にするために、あっさりとレクイエムを撃つ。
いや本当に不思議です。アルザッヘル基地の連中に少しプラントを攻撃させてから叩き潰す方がまだ名目も立つというのに。議長らしくありませんな。



シンとレイはまだ自室にいた。
漸く椅子に座れるほどに快復したレイがシンを見る。困って視線を逸らすシンを見て、レイが少し穏やかな顔をしてから背を向ける。
「先刻のことなら何でもない。驚かせて悪かった。……持病のようなものだ。気にしなくていい」
「いや、あの、俺…」
無理だってレイ。気にするから。シンは人の苦しみを見過ごすことなんかできる子じゃないから。レイの語った内容なんかより、レイの苦しみの方に目が向いて仕方がない子だから。何より優しい子だから、本来的にはとても。
「そんなことより、その前に俺が言ったこと、忘れるな。この先何が起ころうと、誰が何を言おうと、議長を信じろ。世界は変わるんだ…俺たちが変える」
レイ、眼がうるうるしてるよ……。この先何が起ろうと、って、それはまるでそこに自分がもう居ないこと前提みたいじゃないか…っ! 遺言なんて、いやだよレイ…。
さらに回想。暗い部屋で蹲る小さなレイ、そこにやってきたラウ、ラウに手を引かれてデュランダルに初めて会ったこと、10歳くらいのレイがやや戸惑い勝ちにデュランダルに頭を撫ぜられている光景…。これを見る限り、ラウはレイを研究所から連れ出した後、ある時期からはデュランダルに預けて養育させたと考えていいのだろうか。レイ視点の回想だからなのか、出てくる議長はいずれも優しく、裏などないように見受けられる。
「だがそんな時には、混乱の中、これまでとは違う決断をしなければならないこともあるだろう。訳が分からず、逃げたくなる時もあるだろう。だが、議長を信じていれば大丈夫だ」
レイ自身がそうやって、あらゆるものを乗り越えてきたのだろう。議長を信じることで、自身の否定からも、ラウの否定からも救われてきたのだろう。だから、シンにもそうしろと託すのだ。
「レイ…」
シンにはレイの背景などこの時点で見えてはいない。だから「議長を信じろ」と切々と説くレイに、どんなことがあったのかと思いながら問う。
そのシンに、レイは、静かに微笑んで見せた。とても静かに。
「正しいのは、彼なんだからな」
「うん、まあ…。
けど、何でそんなこと言うんだよ、いきなり。何か、それじゃドラマの死んでく親父みたいだぞ。やめろよ」
シンの言い出したことはレイのツボを衝いていて、レイは小さく苦笑せずにはいられなかったようだ。シンは人の死には敏感だ、だから今更隠しても無意味だと感じたのだろうか。それとも、あれほどステラに拘ったシンだから、信頼し、どこかでその心を議長に結びつける枷にできればと思ったのだろうか。少し苦笑して、レイは真面目な顔で切り出した。
「実際、俺にはもう、あまり未来はない。…テロメアが短いんだ。生まれつき…。俺は…、クローンだからな」
最後にレイは、微笑んでそう言った。悟りきったような、穏やかな顔で。
………どうして、どうしてそんなことを笑顔で言うんだよ! どれだけの苦しみを経てどれだけ人を信じたら、そんなこと微笑んで言えるようになるんだよ!

「生きていることはそれだけで価値がある。明日があるということだからな」
「どんな生命でも、生きられるのなら、生きたいだろう」
今になってぐさりとくる台詞がレイには多かった。
レイが生きることを全身で肯定している人であるが故に、レイの微笑みは、余りに辛い。
生きていたいのは、レイ自身のはずなのに。
余りに短く区切られた命を、それでも全力で為すべきことのために使い切ろうとする、レイ。生きることに絶望していただろうレイだからこそ、自分やラウのような存在がもう二度と現れないようにと世界を変革することのために己を投じることができたのだと思う。
確かに、議長に会えていなかったら、こんな風に笑うことはできなかっただろう。自分の確実にいない未来のために全力で走ることなどできはしなかっただろう。人を怖いくらいに信じたりはしなかっただろう。
だけど。
だけど。
あんまりだ。



レクイエムはアルザッヘルを焼き尽くす。
「従わねば死、どちらにしてもこのままでは世界は終わりです」とラクスはエターナルと合流してザフトと戦うことに。まあ一応オーブ軍なので、オーブ本国に連絡はしていくようだが、どうもAAが好き放題動いているのをオーブが追認するという感じで好きではない。軍って…それでいいんでしょうか?


一方、議長はシンとレイを機体ごとメサイアに寄越すようにと指示。シン説得のためとメサイア防衛のためなのだろうが……ミネルバが危ない、そんな気がする。


ルナマリアはシンを漸く呼び出して、話をしようとする。彼女はレイの態度にひどくお怒りの様子だ。…そうだな、まあレイは確実に君を排除しに掛かっていますから。
レイには迷いがない。シンを議長の確実なナイトにするためなら、心が痛んだとしても、あらゆるものを切り捨てる覚悟だ。何故なら、レイにはもう時間がないから。自分が居なくなった後も、議長とその世界を自分に代って守ってくれる存在が、どうしても絶対に必要だから。
…何故だろう、眼から塩水しかでない。

レクイエムが使われたことを知り、ルナマリアは自分が折角壊したのにと驚く。
だがそんなルナマリアはまるきり眼中にないが如く、レイはシンに宣言する。
「言ったとおりだ、シン。たとえ良いことでも、スムーズには行かない。
次は奴らが来るぞ、アークエンジェルが」
………来なくていいから。不沈艦など来なくていいから。
宇宙での戦闘を、当初ひどく楽しみにしていた。だが今は、もう戦闘など要らないから、どうか生きて欲しいと願ってしまう。
[PR]
# by gil-mendel | 2005-09-18 11:52 | seed-destiny

phase-47「ラクス・クラインって、本当は何だったんだろう?」

ミーア。ミーア、お休み。お疲れ様。本当にありがとう。世界のために平和を歌ってくれたのは、ラクスではなく確かに君だった。頑張ってくれて、ありがとう。そして、すまない。今は、誰にも利用されることなく、安らかに静かにお休み。
シン……本日の台詞、「議長…」のみって………頑張れシン。あと3話、何とか頑張ってくれ。
議長…明らかに時期尚早、何をそんなに焦っておいでになるのですか? まだ地にはオーブが残っているのに、宇宙にはAAとエターナルがいるのに、ザフト内部は旧クライン派に蝕まれて崩壊寸前なのに、何故今?
ラクス。責任を感じてくれていますか、ミーアの死に対する。もし少しでも己を問うなら、己が為し得なかったことを問うてくれ。ミーアを死なせたのは己だと、分かってくれ。
アスラン。…いつまで君は逃げるのだろう。




第47話「ミーア」。………本気でこの時期に半総集編とはいい度胸だ。
まさか49話まで半総集編だったり……しないよな? 幾ら何でも最終回直前でそれは………ないといえないのがこのアニメの怖いところだ。あと8話くらい残っていたらそれもありだろうが……風呂敷、畳めるんですかね。
今回は日曜になってから見たのでかなりに遅刻。更に半分総集編だったのも手伝い、比較的駆け足気味の感想です(当社比)。
選挙速報見ながらてけてけ感想を打っているのですが…頼むから20時ジャストで当確出すのは止めてくれ。まだ票開いてませんから。投票所に投票人が残ってたら投票箱閉鎖すら終わってませんから。



瀕死の人をAAに連れて行ったらAA補正が効いて生き返る、そう思ったのかどうか知りませんが医者にではなくAAにミーアを連れ帰った彼ら。
しかしミーアは既に事切れていたのか、ストレッチャーではなくアスランが抱きかかえてクルーが整列する中を連れて行く。…それって、ミーアの生に対して早々に諦めたってことですか。目の前で本当に人が死んだことのない人が脚本書いているんじゃないかと思えて仕方がない。人が目の前で自分のせいで命を失うことがどれだけ悔しいことか分かってますか。
死にそうな人に色々喋らせるなんて命が大切ならしない、とにかく医療をと考えるのが普通の人なのだが、アスランにもラクスにもキラにもメイリンにも名無し男にもそんな常識はなかったようだ。
「俺はそんなに諦めが良くない」って嘘ですかアスラン。それとも実はミーアの死を望んでいた人物があの5人の中に? …誰とは言わぬが。

整列しているクルーの中に妙な違和感…と思ったらドム3人組がザフト軍服着て混ざっていた。しかもヒルダ姐さん赤服なんだが……その服でオーブ軍艦たるAAにいるのはやめてもらえませんかね。怒り倍増しますから。
駄目だ、本気でザフトは崩壊しているよ。

で、アスランはミーアを軽々と抱いて歩いていくんだが…本当に死体ならそんなに軽くないし、冷たくて、足も首も手もあらぬ方向に曲がるのだ。ミーアの脚の角度から見て、まだ筋力が残っているように見える。この時点でミーアは未だ完全には息を引き取っていなかったのではないか。
医療を施してなお駄目なら仕方ない、なのに彼らは余りに諦めが良すぎる。
抱き上げた角度的に、進行方向向かって左の列の人にはミーアのパンツが丸見えなのではないかと思うが…死者だと思うならせめて辱めないでくれ。


ミーアは冷たい部屋に横たえられる。寂しい部屋だ。裸電球がぽつんと照らす、寂しい部屋。
名前以外何も知らないからって持ち物検査ですかそうですか。日記はなあ…公開用じゃないんだから放って置いてやってくれよ。逆の立場なら嫌でしょうが。ディスク開くまでは何か分からなかったとしても、日記だと分かった瞬間に閉じろよ。明らかに覗き趣味じゃないか。


ミーア日記は賛否両論あると思う。
残り3話となった今ミーアにこれだけの半総集編を割く意味が今ひとつ分からないが…あり得るとすればAAが議長を倒す動機付けの一つとして利用されるという点か。巫山戯るにも程があるけどな。
ステラの死にもそれだけの重さを持たせてやって欲しかったな。スティングの、アウルの、トダカの、ハイネの、ユウナの、馬場の、数え切れない沢山の死に。


日記を見る限り、ミーアは明るくて一生懸命で、ややピントはずれていたけれども平和のためにとひたむきだった。
ラクスがいないプラントで、整形までして身代わりを務め、自分の言葉ではないけれども自分もそれに同意できるからと、議長の下での平和を語り、世界がそれに靡かぬことを苛立たしく思い、平和のための戦争に疑問を持たず、ただ頑張ってきた健気なミーア。
そうだね、確かに君の唇を通して出た言葉が世界を動かしてきた。それは確かに君がしたことだ。君を利用するどんな力があろうとも。
「今の私の言葉はラクス・クラインの言葉。本当にこれで世界が変わるなら…どうか変わって! みんなどうか私の声を聞いて!」
ああ、まるで巫女のようだ。その身に神が宿ったと信じて、必死に舞い叫ぶ巫女。

ラクスがミーアの映像に介入してきた辺りのミーアの言葉が痛い。
「ラクス・クラインって…ラクス・クラインって、本当は何だったんだろう?
誰のことだった? あたし?」
「ラクス・クライン」とは一つの象徴、偶像だったのかもしれないと思う。
実際のラクスがどうあろうとも、受け手にとってはラクス・クラインはこのような者でこうあるべき、という像ができてしまう。期待が大きければ大きいほど。
その代行を務めたミーアには、過剰な負担が掛かったであろうことは想像に難くない。まして他人になりきるという「嘘」の上では、やりがいがあるといってもしんどいはずだ。
世界のためにと信じてラクス・クラインという一つの虚構を演じてきたところに、「私が本物」と今更ながらにしゃしゃり出たもう一人のラクスを、ミーアが「あたしがラクスだわ!」と否定したくなったところで、責められるものでもない。
「あたしがやった! だからあたしは、あたしが!」
……うん。そうだね。
忘れないよ、ミーア。ラクスが言う「忘れない」とは全く違った意味で、忘れない。


やりきれなさに席を立ったアスランをキラが追う。もうこの二人に関しては色々諦めました。アスランのぐるぐる状態には何だかんだ言ってキラが必要らしいです。ああもう好きにしてください。我関知せず。
「俺が最初に認めなきゃ良かったんだ…こんなことは駄目だと」
「うん…でもやっぱり、すぐにそんな風には言えないよ。後になんないと、分かんないことも多くて」
まあね。アスランには傷を舐めてくれる人がいていいね。
「僕もラクスも、狙われたりしなきゃデュランダル議長のこと信じてたと思うんだよね。戦わない方がいいって言った人だもん」
……あちゃ。議長の計画破綻はラクス暗殺を立案したことそのものにあり、か。まあミーアを「私のラクス」として使ったりしなければラクスを暗殺しようなどということにはならなかったはずだから、要するに下手なカリスマが存在していたことそのものが議長の計画を破綻させたということですかね。
それとも、特に議長に疑いを抱いていなかったラクスやキラを初めから取り込んでおけば良かったか。…いやあんな危険因子、取り込んだ瞬間からいつ牙を剥くか心配しなきゃいけないだろうから、それは無理か。
まあ藪をつついて蛇を出した、議長の失策はそこに尽きると。

ちなみに、「そんな世界は傲慢だよ」とキラが言う、そこに被る映像がロドニアラボ、叫ぶシン、そしてアスラン脱出時にやたら銃を撃ちまくったレイなのは、それはアスランが傲慢だと思うものってことですかね?
彼らはいずれも結果でしかないというのにね。傲慢だという言葉にそれを思い浮かべる君が傲慢だと思うよ、アスラン。


ラクスが涙を流す。
何故だろう、それが最も傲慢だと思えてならない。
己がプラントで為し得なかったことの結果としてミーアがラクス・クラインという商標を付けて世に出た。己が逃げたことの代償をミーアに支払わせた。その女が何を泣くというのだろう。
傲慢な涙だ。あらゆるものに恵まれた者が憐れんで零す涙など、ミーアに要らない。
一緒に泣ける者がいる者の涙など、ミーアに要らない。
そして、本当に悲しい時、人は涙すら出ない。それだけの哀しみと自責を味わった者にしか、分からない。
少しでもラクスに自責の念があったなら、涙など零れない。その死に自分が加担しているという自覚があれば、喉から出るのは無音の叫びだけだ。
ラクスの「忘れない」は、明らかに議長にのみミーアの死の責任を負わせるものでしかない。自分を問わない「忘れない」の虚しさに、怒りを禁じ得ない。


ミーアを死衣裳に着替えさせ、棺に収めて出棺する。
…ああどうか、その眠りが静かなものであるように。せめてその死は誰かに利用されることのないように。



議長がついに、世に問う。AAもターミナルもオーブも健在である今、議長としては珍しく賭に出たと言うべきだろうか。
議長の言葉を起こしてみよう。

「今私の中に、みなさんと同様の哀しみと、そして怒りが渦巻いています
何故こんなことになってしまったのか。
考えても既に意味のないことと知りながら、私の心もまたそれを探して彷徨います。

私たちはつい先年にも大きな戦争を経験しました。
そしてそのときにも誓ったはずでした、こんなことはもう二度と繰り返さないと。
にもかかわらずユニウスセブンは落ち、努力も虚しくまたも戦端は開かれ、戦火は否応なく拡大して、私たちはまたも同じ哀しみと苦しみを得ることとなってしまいました。
本当にこれはどういうことなのでしょうか。
愚かともいえるこの悲劇の繰り返しは、一つには、先にも申し上げたとおり、間違いなくロゴスの存在ゆえんです。
敵を作り上げ、恐怖を煽り戦わせて、それを食い物としてきた者たち、長い歴史の裏側にはびこる彼ら、死の商人達です。

だが我々はようやくそれを滅ぼすことができました。
だからこそ、今敢えて私は申し上げたい。
我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦って行かねばならないと。
そして我々は、それにも打ち克ち解放されなければならないのです。

皆さんにも、既におわかりのことでしょう、有史以来人類の歴史から戦いのなくならぬ訳、常に存在する最大の敵、
それはいつになっても克服できない我ら自身の無知と欲望だということを。
地を離れて空を駈け、その肉体と能力の様々な秘密までをも手に入れた今でも、人は未だに人を分からず、自分を知らず、明日が見えない、その不安。
同等に、いやより多くより豊かに、飽くなき欲望に限りなく伸ばされる手、それが今の私たちです。
争いの種、問題は全てそこにある。

だがそれももう、終わりにする時が来ました。
終わりにできる時が。
我々は最早その全てを克服する方法を得たのです。
全ての答えは皆が自身の中に既に持っている、
それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。
これこそが繰り返される悲劇を止める、唯一の方法です。
私は人類存亡を賭けた、最後の防衛策として、デスティニープランの導入実行を今ここに宣言いたします!」


議長、ここまで着々と策を講じてきたあなたが、どうしてこんな賭に出るのか今ひとつ分からない。進めてきた策にいくつかの綻びがある、それはAAとかラクスとかオーブとか旧クライン派とか、軽く見ると酷いしっぺ返しを喰らう類のものだ。何故に議長がかくも急いでいるのか。一気呵成にいけると読んでいるのか、それとも他に急ぐ理由があるとでも言うのか。

敵とは何か、それはお前自身の無知と欲望だと言われてはいそうですかと素直に受け入れる者などいないだろう。
ラクスの言葉を借りれば、まだ「戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない」と言ってもらえた方が、人は自分を問わずに済む。敵は己の外、己とは違う者なのだと言われる方が戦いやすい。さてどうしますかね、ラクス。議長は「戦う者も戦わない者も悪い」と言ってしまった訳ですが。

デスティニープランに賛成か反対かと問われれば、個人としては反対だ。
どれほど遺伝子の解析が進んだとしても、人は人と出会って成長していくものだから、どんな人に出会うかは決して遺伝子情報には書かれていないから、全てなど読み切れるはずもない。能力には確かに遺伝上ある程度限界はあるだろうし、事前にこういう方面に向くと分かっていれば才能が見出されずに花開かぬということもなかろうが、しかし人は努力によっても変わるものだ。未来は見えない、だから進もうという勇気が出るのだ。
人は揺らぐ、その揺らぎが人類だ。

だが、コーディネイターの存在そのものがデスティニープランの一環であるようなものではある。遺伝情報を書き換えてより能力を持たせることは、既にコーディネイターが行なっていることではないか。遺伝子で全てが決まるとなれば、ナチュラルの中からも子どもはコーディネイトしたい者が多く出てくるだろう。デスティニープランとは実質全人類コーディネイター化計画と言えるだろうか?
そう思う一方で、実はコーディネイターとナチュラルはそんなに違わないのではないかと思ったりもする。副長アーサーの驚きぶりとか赤服ルナマリアの射撃下手とかプラント市民の煽動されやすさとか見ていると、コーディネイトされたって何を?と尋ねてみたくもなるというものだ。
人の愚かさも人の欲も、コーディネイトしてなくせるものでもあるまい。遺伝子で何とかなると思う愚かさも、遺伝子で何とかしたいと思う欲も、なくせる訳ではないのだから。

それでも、議長がそういう世界を渇望するに至った経緯を分からぬ訳ではない。万人の万人に対する闘争を止めたいと思う、その思い自身は共感するものがある。その手段と過程は真っ黒ではあるけれども、ただ手をつかねているだけの者やヴィジョンがない者には、行動すら起こし得ないではないか。
あなたはこの混沌の世界をどうするのかと問われて、戦争のない世界を導くための一つの答えを見出し、そのためにあらゆる策を講じあらゆる手を打って理想を実現させようとする、その思いには揺さぶられる。
確かに議長は夢想家だ、だがあらゆる手を打っていくその強かさは唯の夢想家ではない。
戦争のない世界、それを構築するためなら己の手など幾度でも黒く染めて怯まない。その黒さに、心惹かれる。
勿論、目的は手段を正当化しない。だが、黒さを引き受ける覚悟のある手に、惹かれる。



議長の宣言を聞くタリアが思わず呟く、「ギルバート…」と。
そこから生み出される世界を想定することが、タリアには容易いのかもしれない。議長をよく知る身であれば。
タリアに物語上どんな役割が用意されるのか知らないが、どうかザフトから離れる展開ではありませんように。己の立場から逃亡するばかりの人間ばかりでないことを、示してくれ給え。

一方、私室にいるシンとレイ。彼らにしては珍しく部屋が明るく、何故かレイが椅子に座ってその斜め後ろにシンが立っている。彼らの力関係には正しく則っているが、少し違和感を覚える。多分先に演説を見始めたレイの所にシンが寄ってきたのだろう。
シンにはやはり議長の言葉はすぐに受け入れがたく、「議長…」と驚く。いや今日のシンの台詞ってこれだけですか。最終回直前とは思えないほどないがしろ状態なんですが。
レイはシンを上手くコントロールするためにルナマリアから引き離して自室で演説を見ているのだろう。普段なら他のクルーも集まる部屋である程度皆の反応を見ながら議長演説を見ているのに、今回はシンをどうするかに絞ったか。余裕がないレイ、ということか。…時間も、ないか。

ルナマリアは他のクルーがいる部屋にきっとシンがいる者と思って姿を現したが、シンはいなかった。この先のシンとの関係にやや不安が残る。




次回…ああ、議長が壊れていく様を、それでも見ておきたいと思う。
[PR]
# by gil-mendel | 2005-09-11 23:46 | seed-destiny



議長至上主義。黒くて結構!
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
以前の記事
カテゴリ
最新のトラックバック
ガンダムSEED DES..
from Refuge
一週遅れなデステニ49話..
from 思うことを述べよ、煩悩を曝そう
GUNDAM SEED ..
from kasumidokiの日記
今日の『最後の力』
from プチおたく日記 vol.2
最後の力
from tune the rainbow
デステニ50話メモ
from 思うことを述べよ、煩悩を曝そう
最後の力
from ジブラルタル
高次可変領域
from 菅野重工業
機動戦士ガンダムSEED..
from 気になるフィギュア & ホビー
『機動戦士ガンダムSEE..
from 【T】 Tsukasa♪'s..
機動戦士ガンダムSEED..
from 木下クラブlog
GUNDAM SEED ..
from kasumidokiの日記
ガンダムSEED DES..
from Refuge
機動戦士ガンダムSEED..
from ~SoSeGu~
種運命第49話
from ピーサード様がみてる
種運命第49話
from ピーサード様がみてる
AA演出における自己感想..
from 虚弱体質な腐女子の日々
PHASE-48 「新世..
from 「舞い降りた剣」
今週のガンダムSEEDデ..
from アフィリエイトで目指すは月収..
GUNDAM SEED ..
from kasumidokiの日記
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧