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ちっちゃな種が暮らしいい。

phase-49「俺たちは誰もが皆、この世界の欠陥の子だ」

レイ…レーーイ……っ!!!! ああ、その願いは貴い。血を吐くような決意を、愛おしいと思うよ。にしても「もう一人の俺」発言にはどきりとさせられたよ。
ラウ!! そこで出てくるのか!
シン……君、いい奴だよ…やっぱ。クレジットが3番目に落ちても最終回予告で機体名呼ばれなくても、最終話あらすじに殆ど名前上がらなくても、やっぱいい奴だよ、君は。願わくば、生き延びてくれ。
名無し男………まーたーかぁーーーーっ!!! もういいよいい加減にしろよ。
イザーク…株下げてますよ株。メイリンなんか枠外。
…ていうかさ、種49話が半分くらい流れていた気がするんだが…気のせいか? 気のせいだよな?



第49話「レイ」。総集編でもなく題名になった人が死ぬ訳でもなく…ある意味安心した回ではあったか。
二晩置いて、漸くテンションが落ち着いてきました。これで落ち着いているのかと思われるとは思いますが、土曜夜はもっとひどかったのです、堪忍してください。
文字数が多すぎるようなので、後半と分けます。




アバンではシンとレイがミネルバを離れてメサイアの議長の下へ向かい、キラとアスランがミーティアを装備してレクイエムを落としに向かう。
シンとレイが機体ごと去っていく様を、タリアが、アーサーが、ルナマリアが見送る。突然こんな状況の中二人を呼び出すとはどういう了見かと、タリアならずとも不安に駆られずにはいられまい。
ミネルバに残されるMSはこれでインパルスだけとなる。


ラクスがレクイエムを落とそうとする、その理屈が何よりも笑える。
「私たちはこれよりその無用な大量破壊兵器の排除を開始します。
それは人が守らねばならないものでも、戦うために必要なものでもありません。
平和のために、その軍服を纏った誇りが未だその身にあるのなら、道を空けなさい」
大量破壊兵器だからと? 笑わせる。お前が鍛えていた剣は大量破壊兵器ではないと? 規模が違うから許されると?
巫山戯るな。
所詮、兵器は兵器だ。その殺傷する量をもって線引きするとすれば、では聞こう、一体何人殺せるならば「大量破壊兵器」と呼ぶのか?
そして聞こう、議長ではなくジブリールがその兵器を握った時に同じ理屈で滅ぼさなかったのは一体何故だ?
所詮君のいうことは己に都合の良い政治的喧伝以外の何ものでもあるまい。それは君の行動が一番よく示してくれているよ、ラクス・クライン…小人物よ。
軍と大量破壊兵器は密接に結びついている。軍人にそれを否定しろというのは無理なこと。あんた自身にもだがな。
所詮ラクスには、真面目に兵の心を組織化していこうという気はない。「ラクス様のために」という思考停止の言葉しか、彼女の旗下には必要ないものなのだ。
レクイエムを落としたいなら、それによって生まれる悲劇を説いてみよ。だが彼女にはできぬこと…戦争の絶対肯定を行なった彼女には。
愚かな、余りに愚かな。
…と思っていたら、ミーティアなる大量破壊兵器でザフト兵を殺戮……。
いやはっきりしてるよあんたって人は! 自分の力だけは綺麗な力、自分の大量破壊兵器だけは綺麗な兵器、そういうことだろう?


議長…「問題は数でも装備でもないんだ…問題は…」って、何を言おうとしていたんですか。やっぱり「速さ」?


AAらを「ロゴスの残党」として狩ることを決めたザフト軍を、キラ達は躊躇も見せずにざっぱざっぱと落としていく。ええと、大量破壊兵器って何ですかね? 実際に人がゴミのように殺されていっている、それは明らかに大量破壊兵器じゃないですか。

AA現るの報にアーサーは驚きタリアは唇を噛む。…最後まで驚いてばかりだったねアーサー。それが癒しだったけれど、せめて最終話で少し成長してもらえませんか。

一方イザークとディアッカはAAらの奮戦する様子を見ている。
イザークは重力なかったら怒髪天を衝いてそうにお怒り。ディアッカが何か腹に一物ありそうにそれを宥めている。
「でも連絡ないの当たり前だぜ? 俺たちはザフト軍なんだからな」
…ええと、「俺に連絡もなしに寝返りやがって!」とイザークがアスランを怒っているという理解でいいんでしょうか。ま、立場ないよな。



メサイア議長室に呼ばれたシンとレイだが、シンには覇気がない。レイから聞かされた話が頭をぐるぐる回っているのだろう。議長がそんな彼らに声をかける。
「確かに、アーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下、そして開戦からこんな事態にまでなってしまったのだ、誰だって戸惑うだろう。
だが、そんなやりきれないことばかり続いたこの戦うばかりの世界も、もうまもなく終わる」
「はい」
「いや、どうか終わらせてくれ、と言うべきかな。君たちの力で」
「はい」
答えているのは常にレイだ。…ああ、そうやって答えぬ者の傍らで代りに答えたことがあり、一方で傍らに立つ者の真っ直ぐな答えを答えられぬ者として聞いていたことがある。何だろう、レイの返事が胸に痛い。
こういう場に心揺れる者を単独では呼ばぬのも一つの手だ。より信頼でき、心揺れる者を指導している者と共に呼ぶ、そして規範を示させ心を固めさせる、そのようにしてきたではないか。


ラクスはエターナルから呼びかける。
「このようなもの、もう何処に向けてであれ、人は撃ってはならないのです」
願わくばその言葉、ジブリールがレクイエムを撃った時に聞きたかったね。
ラクスの声に躊躇したザフト兵をあっさりとインフィニットジャスティスが撃破していく…それは卑怯というものではないですかね?


尚も議長の言葉は続く。
「今、レクイエムのステーションワンがAAとエターナルに攻撃されている。私があれで、なおも反攻の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったので、それを口実に出てきたようだが、いや、全く困ったものだよ。
我々はもう、これ以上戦いたくないというのにね。これでは本当にいつになっても終わらない」
議長、本当に困ってますかあなた。読み違えて、アルザッヘルを討っておけばAAが意気込んでやってくる、それを叩けるとでも思っておいでなのでは? しかし相手が相手だ、議長の目論見は確実に失敗に終わるだろう。
だが議長、シンがレクイエムによるアルザッヘル攻撃を肯定するという前提があるようですが、どうでしょうかね?

議長の言葉に応えたのは、またもやレイだ。
「はい、でも仕方ありません。彼らは言葉を聞かないのですから。
今此処で万が一、彼らの前に我々が屈するようなことになれば、世界は再び混沌と闇の中へ逆戻りです。
嘆きながらも争い、戦い続ける歴史は終わらない、変わりません。
そうなれば人々が平和と幸福を求め続けるその裏で、世界はまたもかならずや新たなロゴスを生むでしょう。
誰が悪い訳でもない、それが今の人ですから。
俺はもう、絶対に世界をそんなものにはしたくありません。
漸く此処まで来たのです」

『言葉を聞かない』というフレーズは今まで幾度も調子を変えて繰り返された。多分この作品の主題の一つなのだろう。
『言葉だって聞いたろう!』(アスラン)、『私の言葉が聞こえないのか!』(カガリ)、『私の声は届いていただろう?』(議長)。
言葉が届くこと、言葉を聞くこと、それは世界を変えること。
だがそれは、遙か上から降ってくる言葉であればあるほど、その言葉を聞くことは『王化に帰する』意味合いが強くなる。
言葉は同じ地平で同じ視線の低さで発されてこそ、それに対する応答が為されうるのだ。
議長の発する言葉もAAの発する言葉も、どちらも高みから降る言葉であるが故に、互いに届かず、互いに聞かれることがない。
議長の言葉がより響くのは、高みから降りながら僅か上から導くような偽装が施されているからだ。
だが、シンにはそれでは全ては届かない。だから通訳者としてのレイが必要なのだ。己のすぐ隣で、自分の深淵を通して血肉に噛み砕いてくれるレイが。

にもかかわらずそれでも、いやそれだからというべきか、レイの願いは真っ直ぐで、そして恐らくは紛う方なく彼の本心だ。
レイの嘆きは深く、であるが故に己を捨ててでも新たな世界を望む。
自分を生み出した世界を破滅させるのでなく、変革することを望んだレイは、真っ直ぐすぎる。
「誰が悪い訳でもない、それが今の人ですから」と言い切れるレイは、個人を怨むことなどとうに通り越そうとしているのだろう。誰が悪いのかという問いを延々と積み重ね、個人がというよりは世界に問題があると辿り着くまでにはだが相当の時間を要したのではないかと思う。その過程は、暗く果てなく、苦しみに満ちたものだったろう。
「俺はもう、世界を絶対にそんなものにはしたくありません。漸く此処まで来たのです」
もう少し、あと少しで世界を変えられる。その切羽詰まった思いが、辛い。
その新しい世界に自分がいないと知って、なおかつ人は新たなもののために闘うことができるだろうか?

ふと、議長の「既にここまで来てしまったのだからね」(44話)を思い出す。


シンはレイの言葉を聞きながら、回想する。
失った妹の、ちぎれて落ちた腕を。
ユニウスセブンを落とした人を。
ロドニアラボで実験材料としての生を終えた子どもを。
その子どもの行き着く先である、息も絶え絶えなステラを。
……シンが繰り返してはならないと思う世界、それはとても、辛い。

「レイ…」
「デスティニープランは、絶対に実行されなければなりません」
「そうだな」
レイの強い願いに押されるシン、自分の願った世界がデスティニープランで実現されると信じるレイ、レイが正しく教導者の役割を務めていることに満足する議長。
…ああ駄目だ、彼らの上にはっきりと「悪役」と烙印が押されているようで、辛い。


キラはじめAA一行は現れたミネルバに驚く。…今更驚くまでもないと思うんですが。宙域にいることくらいご存じでしょう? ましてやザフトの危機ともなれば、現れ出でぬはずがない。そういう立ち位置に、議長が置いたのだから。


議長はシンへと畳みかける。
「君はどうかな、シン。やはり君も同じ思いか?」
「え……」
問われて、シンはレイを見る。自分を此処まで導いてきた者を。そのレイがシンを見ている、自分が託したものが伝わっているのかという眼で。
言葉に詰まるシン。そこに重なる、緊迫したミネルバ艦橋のタリアら、AA艦橋のマリューら、エターナル艦橋のラクスら、さらにイザークとディアッカ、そして、一人ミネルバに残されたルナマリア。
この息詰まる感覚が好きですよ、胸が圧迫される感じで。
「俺は…」
レイを見遣るシン、そのレイがシンを見ている。そして、レイの言葉を回想するシン。

「実際、俺にはもう余り未来はない。テロメアが短いんだ、生まれつき。
俺は…、クローンだからな。
キラヤマトという夢のたった一人をつくる資金のために俺たちは造られた。
恐らくは唯、できるという理由だけで。
だがその結果の俺は、…フッ、どうすればいいんだ?
父も母もない、俺は俺を造った奴の夢など知らない。
人より早く老化し、もうそう遠くなく死に至るこの身が、科学の進歩のすばらしい結果だとも思えない」
「レイ…」
「もう一人の俺はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦って死んだ。
だが誰が悪い、誰が悪かったんだ?
俺たちは誰もが皆、この世界の欠陥の子だ。
だからもう、全てを終わらせて変える。
俺たちのような子どもがもう二度と生まれないように。
だからその未来は、お前が守れ」

レイの言葉にくるくる回るステラを、苦しむステラを、そしてロドニアラボで苦しむレイを重ねるシン。
…シンの中で、ステラとレイが重なっていく。
一方、レイは「もう一人の俺は」としてラウを思い浮かべる、メンデルで銃撃戦のあげく仮面を飛ばされたラウを、キラと戦って散る間際のラウの笑顔を。
レイの頭から、ラウが離れることはないのだろう。

さらに「誰が悪かったんだ?」と半ば自問自答するようなレイの言葉に、最初のコーディネイタージョージ・グレンとシーゲルとパトリック、そして羽鯨の化石の映像が重ねられる。
それは、コーディネイターという存在そのものが問題だったのではとレイが考え出しているということなのか? …判断しにくいな。まだ分らない。

そしてシンの精神世界のような映像へ。このアニメでは珍しいことだ。
は、と衝撃的に気付かされたようなシンの後ろに、パトリック・ザラがアスランを突き飛ばすところ、オーブが灼かれウズミが炎に身を投じ、カガリが泣きじゃくる、そしてマユの携帯を取ろうとしたシンが爆風に飛ばされるところ、ラウの最期の笑顔、幼いレイの頭を撫ぜるラウと頬を染めるレイが、順に流れていく。
そしてレイが微笑んで「その未来は、お前が守れ」と言ったところで、マユとステラ、そしてルナマリアが映った。シンの、守りたかったもの。

レイの声は常に穏やかで。
胸が潰れそうだ。
レイの言葉はいつもいつも胸を衝く。

それでもこれは、シンに対するレイの最後の切り札なのだろう。最後のカードを提示したのは、議長の指示ではなくレイの判断だろうけれども。
己が何者であるかを開示し、自分を生み出した世界を変えると語り、そして新たな世界を守れとシンに言う。…これが遺言かつ切り札でなくて何だろう。
シンにとってある意味残酷な枷だ。だがレイにとってはそれは紛れもなく、真摯な発露であるのだろう。己がいなくなった後の世界を託せる人間として、レイはシンを選んだのだと思う。


だがここで頭を切り換えて、レイの語った内容を検証しよう。
レイがシンに語った言葉をそのまま取れば、レイの現在年齢はキラよりも確実に上ということになるが…? すいません、一体お幾つですか? 確かに公式では年齢も伏せられてはいるが…少し変じゃないかと。
「人より早く老化しもうそう遠くなく死に至るこの身」という割に、ラウのような仮面を必要とするほどでもなく、ラウほどの苦しみでもないようだ。またラウより相当身長低く、あと数年で183cmに育つとは予測しがたい。本当に純粋なクローンなのか? 違う調整が施されているのでは? その影響で老化のスピードがラウに比しても速いのか? ラウと同じアルのクローンならあと10年くらいは寿命がありそうなものだが…? それともラウのクローンだと? とすればレイの語る内容に矛盾するように思えるが。 
レイの言葉通りならラウと同時期に造られた実験体ということになるが、レイについてはコールドスリープされていたと考えるべきなのか? だとすれば「資金のために」発言の意味を考え直さねばなるまい。フラガ家は資金のために後々まで当初造ったクローン胚を材料にさせていたか。まあフラガ家の遺伝子は先読みには定評があり、欲しがる先はある程度あったろうが…。そうなるとアストレイの世界かな。
或いはラウの予備胚が(バックアップを造っておくのは実験上普通ではある)、何らかの理由で流出し、それが育てられたか…とすれば議長の関わる余地もある訳だが。とすれば初めから議長の手は血塗られているとは言えるかな。
そして、気になるのは「俺たち」と繰り返していることだ。ラウを「もう一人の俺」と言ってはいるが、まだ他に成功体がどこかに存在しているような口振りではある。「俺は、三人目だから」なんてこと、ないよな? しかもまたテロメア不全なんて、これ以上許さんぞ!
…この辺りは、次週を待ちたいと思う。次週で明かされなければ、もう好き放題補完しまくってやる。

ちなみに、レイの一人称が「俺」なのは、対シン用ですかね。
議長と二人なら「私」になるんでしょうか。さてさて。


レイの告白を回想して、シンは一度頭を振って目を瞑り、そして様々なものを振り捨ててはっきりと答える。
「はい、俺もレイと同じ思いです」
その声に、レイは眸を閉じてほっとした顔で僅かに微笑んだ。

これほど確信に満ちたシンの声を聞いたことがない。
ずっと迷ってばかりだったシンに、ここまで確かな声をさせたのは、ひとえにレイの導くところが大きかったと言えるだろう。
シンがダークヒーローだとは、思わない。人が人たるべくして望むことをシンは望んだに過ぎない。今にも命尽きようという、人間の欲望が生み出した存在をかつて救えず、今も救えはしないが同じ哀しみを二度と生まない世界を創り、守るという願いを託されてそれに自分を投企しようとするシンの、どこがダークヒーローなのだろう。
偶々、その世界像に過ちがあるだけのことで。
「守りたい世界があるんだ」、前作最終話でキラはそう言った。
シンにも「守りたい世界がある」のだ。同じことを繰り返さぬ、人が人を手段にせず、戦争など起らない、穏やかで優しくて暖かい世界を。
議長の描く世界像とは一致していないことにシンは気付いてはいないが、だがシンの願う世界を否定することは私にはできない。
その真っ直ぐなままでいておくれ、シン。できれば、最後まで。
…無理な願いなのだろうが。

レイが微笑んだ、その表情が忘れられない。
穏やかな、シンに後事を託せて本当に良かったという静かさが。
「遺児を託す」という、自分が死ぬ際に残していく子どもを託せる人が本当に信じられる人だという。
シンがそれに値すると、レイは漸く安心したのだ。……どうか、その願いが裏切られることのないように。せめて、あと僅かの間でも。
by gil-mendel | 2005-09-26 19:45 | seed-destiny
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議長至上主義。黒くて結構!

by gil-mendel
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