ちっちゃな種が暮らしいい。

phase-37「裏切った彼らを、敵を討ったんだ、俺たちは」

キサカ! そのまま沈めといてやってくれよ頼むから! ていうかその行動はカガリに報告済みか?
アスラン…議長の考えが読めたんだったら、ザフトから自力で逃げ切れるとでも? 逃げるんだったらデスティニー使えば良かったんじゃ? その方がまだ確実性が増すだろ?
ミーア、今日初めてミーアが可愛いと思ったよ。最後の泣き疲れた顔、でもちょっとエロティックだったような気が。このまま殺されるのを待つしかないんですかね。
議長、タリアを凄い顔して睨み付けたり傷ついてるフリをしたり…いやもう役者だよ! もう真っ黒すぎて笑えるくらい。
レイ、シンを追い込んでシンにアスランを撃たせる方を選んだか。正しくはあるが、レジェンドの動きをもっと見たかったような。最後はシンとルナを気遣っているようだが…。
ルナマリア…心中はお察ししますが、偽ラクス情報を握っているんだからメイリンが撃たれた時点でザフトに疑問を持ったらどうだ。シンに抱きついても話は進まんぞ!
タリア、誰よりも今回はタリアが気の毒。この上は折角同じ艦に乗っているんですから、議長をバズーカで撃ち倒してやって下さい。





第37話、雷鳴の闇。昨日まで味方だと信じていた人を裏切ったといって討ち、そしてそれが誤りだったと知ったことのある身に、最近の話は、少し、辛い。
今回は今までになく私情を挟みますので適宜回避してください。





アバンは先週のおさらい…と思ったらデスティニーとレジェンドが起動していた。
レジェンド…Generation Unsubdued Nuclear Drive Assault ModuleをGeneration Unrestricted Network Dr…に書き換えて起動ですか。ええと、書き換えってことは取り敢えず今は核機動でないということでいいんですかね。
シートベルト、ピンクなのに笑った。どうよその色。
「訳など知らない。だが保安部に追われそれをうち倒して逃走したのは事実だ」
えーと、追っていたのは君も含めてていうか君自身だと思うんですがね、レイ。何で逃げたかも知ってるだろう? 多分に嘘と事実の隠蔽が混じってますな。
黒い黒い、真っ黒だよレイ! 願わくばその描写が深からんことを。



キサカが東アジア共和国の艦船から発進していくデスティニーとレジェンドをみている。どう考えてもグフにアスランが乗っていたという推測はできないはずなのだが…スパイ能力が高いのかそれともこの世界の神の一人なのか。
まあここはザフトの通信傍受ってことで。この際ラグナロクのデータハックもキサカということにしておこう。


タリアが凄い剣幕で司令部へ呼ばれていく。そりゃなあ…部下が二人も脱走じゃ、驚きもするよな。
この世界で一番の苦労人はタリアだろう。ミネルバの艦長に就かされて腹黒議長の思惑に嵌められ延々地球を転戦、アスランをいきなり配属されるわ勝手にFAITHにされるわ、ハイネは配属されてきたとたんに戦死するわ、AAはどっちつかずの蝙蝠だし、部下は言うこと聞かないガキ共や自分で考えることもしない副長とかで、敵兵を脱走させて開き直る奴、仲間内で揉める奴、議長に内通してる奴、…まあ気の毒にも程がある。


議長からレイに通信が入る。グフもザフト機体だからこの通信が聞こえているようだ。シンには議長とレイ両方の様子が映像付きで届いている。
メイリンについて尋ねられ、メイリンは人質ではなく自発的意志でアスランと共にいると答えるレイ。間違っちゃいないけど。
それに驚くシン、戦くメイリン、怒るアスラン。

「お前は戻ってくるんだな」とステラを逃がすシンに問いかけ、「シンは戻ってきます」と言い切ったレイを思い出す。
彼にとっては、相手が何処を足場としているかが重要なのだ。敵が相対的な概念であると言い切ったということは、当然味方も相対的な概念でしかない。
それは軍人としては正論だが人としてはとても、哀れなことだ。

「脱走は絶対に阻止すべきものと考えます。撃墜の許可を」
強いレイの言葉にシンは驚き、タリアは慌てて止めようとする。しかし議長はあっさりと許可。
それに驚いたタリアが「議長!」と制止しようとするが、議長に厳しい眼差しで睨まれて退いてしまう。この議長の眼がいいと思う今日この頃。
驚くシンもレイに声を掛けるが、一蹴される。
…脱走は本当に彼らの想定外事項だったのか。殺す気満々じゃないか、レイも議長も。というより、シンにアスラン殺しというステップを踏ませる気満々だな。


「こんなことで、議長とそれに賛同する人の思いが無駄になったらどうする。今ここでの裏切りなど、許せるはずもない。覚悟を決めろ、シン。俺たちで防ぐんだ」
裏切る、とはどういうことだろう。裏切るという言葉がやたら連呼される今回、裏切りとは何かが引っかかる。
人は考えを変える、それとともに立ち位置も変える。それが許せないと思うのは、残された者の怒りとしては無論のことだ。
裏切るくらいなら、ザフトごと変える覚悟があればいいのにと、思わぬでもないが、アスランにできるのはあの状況ではせいぜいジブラルタル基地での演説くらいか。…口べただからなあ。
一つの目的の元に動いてきたものから離れる、それが目的を損なうというのなら、裏切りと呼ばれるのも、仕方のないことかも知れない。


アスランがシンを説得しようとするがレイに否定される。
まあ「彼らの言葉はやがて世界の全てを殺す!」とか言われてもハァ?だがな。もう少し分かるように話そうという気はないのかね、君は。直感で掴んだ答えだからそう整理はされていないんだろうが。
しかしそれを聞いた議長とレイの顔がやや引きつって見えたのは、ある程度真実に触れているからなのか。レイなぞ「シン、聴くな! アスランは既に少し錯乱している!」って、いや確かに若干錯乱してるけれどそれはあんたも同じですから!

せめてメイリンを降ろさせろと要求するアスラン。「その存在に意味はない」と切って捨てるレイ。
存在の意味を議長に求めているレイならばの答えと言うべきか。意味のない存在だった自分を救ったラウと議長にそのよりどころを求めているからか。
役割を果たし、味方である者でなければ、存在自体が無意味、寧ろ有害。
その言葉に未だ抗えぬ郷愁を誘われる。
そんな風に切って捨てた、それが全ての価値観が逆転したときに、愚かだったと知った後でさえ。


「彼は、彼らは! 議長を裏切り、我らを裏切り、その思いを踏みにじろうとする、それを許すのか! お前は言ったろう、そのためならどんな敵とでも戦うと」
そうだ、自分はそう言った。目指すもののためならあらゆる障害と戦うと。あらゆる困難を恐れない、あらゆる敵と戦うと。
それがつい昨日まで、色々問題はあり仲は良くないが、一緒に戦ってきた朋友、だとは。
それでも組織として、自分の立場として、やらぬ訳には往かぬ。

シンは種割れして、「あんたが悪いんだ、あんたが、あんたが裏切るからぁーーーっ!」という安直な感情に基づき、レジェンドと斬り結んでいたアスランに襲いかかる。
一歩退いた上空から冷めた目でレイが見下ろす中、グフの鞭も楯も落としてさらにソードでコックピットやや下を串刺しに。海面に落ちたところでグフ爆散。
……で? 普通死ぬよな? 少なくとも五体がバラバラになるくらいするような爆発だよな? それとも何か? グフのコックピットはハイネの件から問題ありとみて改良されたってか?
人の命は軽いもんだね。主人公補正の効いている人たちに比べて、名もない人の命の軽いこと軽いこと。それで生きてるんだったらベルリン市民に一人の死者もいねえよ!


戦い終わって苦痛に顔を歪めるシンに、レイが声を掛ける。
「シン。よくやった」
「あ」
「俺たちの任務は終わった」
「にん、む」
「ああ」
「アス、ラン…メイリン」
「裏切った彼らを、敵を討ったんだ、俺たちは。やるべきことをやったんだ。さあ、戻るぞ」
アスランらを敵と言われて、シンが息を呑む。シンが望んだ敵ではなかったから、か。シンが想定していたのはロゴスという漠然とした悪でしかなかったのだろう。だが、実際にシンの目の前に敵として示されるのは、AAであったりそれに繋がるアスランであったりするのだ。知っているものは守ろうとするシンにとって、アスランを撃つということは自分を大きく裏切ることではあっただろう。
「敵って何だよ」(アスラン)、「じゃあどことなら戦いたい」(ハイネ)、「何が敵であるかそうでないかは、陣営によって違います」(レイ)、「なら僕は、君を撃つ!」(キラ)。
シンの葛藤は、議長にしてみれば乗り越えるべきものだが、誰かを敵として撃つとはそういうことだ。


で、キサカ! ちゃっかり船で回収に行くとはどういうことだ!
中身がアスランと知ってのことか? いつ知った!
しかも、その小さい漁船なみの大きさの船でよくグフ撃墜場所へ追いついたな! あり得ないから!
………ま、所詮はランボーだから。諦めますわ。
なあレイよ。こういうこともあるんだから、本当に搭乗者が息絶えたかどうかまで確認してから帰るべきじゃないかな。キラについても死んだと思っているようだし…詰めが甘いんだよ詰めが!!


さて、司令部ではザフトの黒服らや文官、タリアらが集まって議長と共にメイリンを庇うアスランの映像を確認している。その隣の部屋ではミーアが力無く床にへたり込んでいる。
そこにグフの撃墜報告が入り、タリアとミーアはそれぞれ衝撃に顔を歪める。平然としている議長につかみかからんばかりの風情でタリアは歩み寄るが、議長はしれっと、他に指示を出す。ザフトの見解統一、現場海域の隔離、ルナマリアの尋問。…こういうところ、議長はなかなかやり手ではあるが、既にその現場海域でアスランらを救出している者がいるとは思っていない辺り、甘い。残念だ…。
そしてタリアにも艦内の居住区域捜索と、タリアへの尋問を要請。
「アスランは私が復隊させ、FAITHにまでしたものだ。それがこんなことになって…。ショックなのは私も同じさ」
いや議長、そんな顔したってあなた全然衝撃なんか受けてないですから! 元からアスランという駒を捨てる気満々でしたから!
タリアはその見せかけの苦渋に臍を噛むが言い返せない。議長はさらに、後で時間を作ると続ける。
…タリアって本当についてないな。ま、何が運が悪かったかって、こんな人間と関わり合ったことが一番なのだろうけど。
後で時間を、ってやっぱりそういうことなんですかね、議長?


デスティニーとレジェンドが帰投。
脚の進まないデスティニーに、レイがレジェンドごと振り返る…待て! 機体が振り返ったり首を傾げたり、おかしいだろう! MSで手繋ぎもおかしかったが、その距離でMSで振り返る意味が分らんぞ!
にしても、ぽすぽすと歩いていく二体の後ろ姿…妙に可愛らしくありませんかね。


一方、尋問を受けている…もとい、メイリンについて説明を受けているルナマリア。メイリンのアクセスログとアスランと共に逃亡する写真を示され、「そんなはずはありません…あの子がそんな、アスランを…そんなの、何かの間違いです! 絶対そんな、莫迦なことを!」と涙声になる。
ごく一般的な、容疑者の家族、というところか。

その涙声の後ろで、議長は指示を下し、ミーアは涙を浮かべて座り込んだまま、シンはデスティニーの足元で何かに耐え、レイはそんなシンを離れて見遣り、タリアは珍しく軍服の衿を開いて夜明けの空を見遣っている。
アスランとメイリンを撃墜させた、それは議長が思った以上にミネルバはじめザフトに影響を与えるのだろう。

翌朝。
グフの沈んだ海域の捜索が続く中、シンとレイは議長の前に呼ばれる。この時点で二人とも艦にはまだ帰っておらず、基地内の与えられた部屋にいるのだろう。
「だが、よくやってくれた、ありがとう」と讃える議長に、レイが「撃ったのはシンです」と報告。無論議長もそんなことは知っているが、シンに「自覚」を持たせるために「そうか」とやや驚いたフリをして見せ、「大丈夫か」と気遣ってみせる。
「大丈夫、です。…でも、アスランとメイリン、…何でそんなことを」と尋ねるシンに、議長とレイが用意していた芝居を見せる。
「未だコックピットも見つからず何も分かってはいないが、こちらのラグナロクのデータには侵入された跡があったようだ」
「らぐなろく…」
「ヘブンズベース作戦のコードネームだよ、大層な名前だがね。ただその中にはデスティニーとレジェンドのデータもある。
侵入はそう容易ではないはずだが、情報に精通している者がいれば、或いは」
「メイリン…ですね」
「うん。彼はラクスを連れ出そうともした。だがラクスは拒否し、それでこちらにも事態が知れたのだが、一体彼は何故、何処へ行こうとしていたのかな?
AAとフリーダムを打てと命じたことを大分怒ってはいたようだが、だがそれも」
「後ろ盾を失い、焦ったのでは」
「分からんね。ならば尚のこと、何処へ」
「ラグナロクの情報なら、欲しがるところは一つです」
「…ロゴス!」
彼らの誘導は実に巧みだがあからさまだ。アスランとメイリンをロゴスに結びつけ、同時にAAも結んでみせる、アスランが元々AA=ロゴスのスパイだと描いてみせるのだ。
その図式に多少の無理があろうとも、アスランを撃ってしまったシンはそう思い込まねばやって行けまい。
アフターケアのある意味行き届いた芝居、ということか。
さて、本当にラグナロクデータに侵入されていた箇所があったかどうかは不明だが、まあ仮にその形跡があったとして、議長が意図的にデータを流していたに70%、残り25%にキサカのハック、最後5%に別筋からの侵入というところだろう。

「開戦の折り、それだけはどうしても避けてくれと言って来てくれた彼だからこそ、私は信じて軍に戻した。それが何故? ロゴスを討って戦争を止めようというのが気に入らない?」
「議長」
「心中はお察ししますが、もう思い悩まれても意味のないことです。
我々がいます、議長」
「レイ」
「困難でも究極の道を選ばれた議長を、皆支持しています」
「レイ」
「次の命令をお待ちしています」
「…ありがとう」
たかが芝居、シンを安定させるために議長とレイが打った芝居、だというのに。
どうしてだろう、どうしてこんな言葉が心をかき乱すのだろう。
「我々がいます」と自分が言った、そのことを覚えている。
正しいと見えていた、その判断が少なくとも誤りだった、としたら、それまでの行動は何だったのだろう。
世界は何でもって贖われるのだろう。
答えは、出ない。



ミネルバにルナマリアが戻される。デスティニーとレジェンド、シンとレイも。
メイリンを殺したと呟きそうになるヴィーノをヨウランが止める、その描写が結構好きだ。
デスティニーから降りてきたシンが無言で佇む、その方にレイが手を置いて、待っていたヴィーノ達と言葉を交わさずに歩み去る。
互いに何も、言わぬ方がいい。特に、こんな時は。


艦長室にて、タリアとアーサー。アーサーはタリア不在の間艦長代理をどうやら務めていたらしい。
「悪いけどもう少し頼める? これではシートに座れない。…すぐに行くから」
タリアが動揺し、感情の揺れを見せているのに、密かに萌えた。
人前で泣いたりするようなキャラじゃないが、艦長席の気丈さを保っていくのも大変なのだろうな。


ミネルバ艦内、シンとレイが歩いていくその向こうから、茫然としたルナマリアが歩いてくる。立ち止まる三人、そして意を決して再び歩き始めるシン、それを見送るレイ。ルナマリアの傍を通り過ぎるとき、シンがぽつりと「……ごめん」と言う。その言葉をきっかけに、ルナマリアは抑えていた感情が溢れて、泣きながらシンの背に縋り付く。シンもルナマリアを抱えて泣きそうになる。その二人を視て、レイが辛そうな様子で踵を返し、去っていく。
…仕方がなかった。妹は軍に背いた。命令だった。ルナマリアならずともそう自分に言い聞かせるだろう。そう思う。それでも泣ける場所があるとしたら、シンの胸なのだろうか? …人の弱さは、正直、よく分からない。仮に、妹とアスランが自分たちを裏切ったのだと思い込もうとするなら、ザフトに残っていく者としては、残った者の間で感情を処理する必要があるだろう。そうとしか、もう考えつかない。
アスランとメイリンが生きていると知ったら、彼らはどうするのだろうと、その時の崩壊が寧ろ心配でならない。


ヘブンズベースを討つために、ザフトと地球連合軍有志が動き出す。
ミネルバは旗艦となった模様で、「旗艦BB01ミネルバより通達。全軍、我に従え」との由。その艦橋には議長やザフト黒服が集まり、本部のような様相。艦長席にはアーサーが座り、タリアは議長の後方に立ち、メイリンの席には既に他の人間が座っている。
こうしてみると、ミネルバを信頼しているから旗艦にしたというよりは、勝手な行動を取られては困るという監視的な意味も含んでの議長らの同乗という雰囲気が否めない。
議長はヘブンズベースへ通告を送りつけることに。まあ対華二十一箇条の要求よりはずっと穏やかだが、ロゴスメンバーの引き渡しと基地の放棄、武装解除とは、何かに似ている。そうだな、まるでイラクに米国が突きつけた要求のようだ。
タリアはやや目を瞠るが、しかし自艦から脱走者2名を出した今議長に強く言えるような立場ではなく、無言だ。


さて、ここでキサカがかくして置いた飛行艇を飛ばせようとしている。そこに積まれているのは、治療中のアスランとメイリン。
さあこの飛行艇はどこへ。AAへかオーブへか…?
にしてもキサカの手回しの良すぎることと言ったら、まるで神。


AAは海底ドックへ。待ち受けていた人々の中にエリカ・シモンズがいるところをみると、モルゲンレーテの秘密ドックか?
議長の通告を傍受したAAでは、キラが「ラクスと話したい、急がないと」と言い出す。エターナルでもラクスがキラとほぼ同時に同様の結論を出している。
離れていても一つの情勢を読み解いて出す答えは同じ、そりゃそうだけどさ。
「ヘブンズベースが落ちたら、次は恐らくオーブです。そうなったらもう、誰も彼を止められなくなります」
彼とは無論議長のことだろう(気分的には止められない奴とはキラじゃないかという気がするが)。議長がオーブを狙うのは、表向きはロゴスと繋がりがあるという言いがかりで、その狙いはモルゲンレーテなどを潰すため、か。pax ZAFT、それには無駄に強い軍事力が他にあればそれだけ不安定になる。
軍産複合体を叩くならザフトをも叩くべきなのに誰もがそれを指摘しない、そんな描かれ方にややうんざりしつつ、議長の描く世界とその崩壊を、見てみたいという思いにはやはり駆られる。


シンは私室へと帰ってくる。その様子を窺うレイの目に、微かな気遣い。
シンはベッドに横になって、随分久し振りに、マユの携帯を持ち出す。
「戦争を無くす…、今度こそ、本当に」
軍人は基本的に、戦争を無くしたいと思ってはいるだろうと、思う。殺戮が無性に好きという兵士はまあいるだろうが、自分が死ぬのが好きな奴はそうそういない。問題は、戦争を完全に無くすためには軍人としては、相手を完全に殲滅するか、そうでなければ完全に自軍に取り込むかしてしまわなければならないということだ。その過程は当然、戦争になる。敵がいるというのは、結局そういうことだ。そしてその後に創り出される世界は、やはり身動きの効かないものではあろう。
「戦いを終わらせるために戦うというのも矛盾した困った話だが」と議長は前話で言ったが、実は多くの場合戦争とはそういうものだ。少なくとも、戦いを終わらせようとして戦う。敵と味方という二項対立がある限りに於いて。例えそれが三項対立になろうとも、互いを殲滅しようとする戦いに違いはない。
「今度こそ、本当に」
その言葉に続くのはキラでありラクス、カガリ、ミーア、アスラン。
いずれもが、もう戦争は終わらせたいという思いを一度は抱いた人たち、だがそれぞれが全て当事者だ。
いずれもが武力を手にし、或いは手にさせた。
暴力の応酬の先に何を描けるというのか、暴力そのものを生産しているラクスが今更何の説得力ある言葉を放てるのか、聞いてみたい気がする。
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by gil-mendel | 2005-07-03 15:55 | seed-destiny
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議長至上主義。黒くて結構!
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